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射程

歴史的建造物の保存 2017年09月14日

 三井住友銀行熊本支店は熊本市中央区魚屋町の市電通りに面している。一帯には古くから寺社が集積。かつては商業の中心地でもあり、近くに繊維問屋街があった。銀行も多数立ち並んでいたという。

 熊本支店の建物は戦前の1934(昭和9)年、住友銀行熊本支店として建てられた。鉄筋コンクリート3階建て(地下1階)で、ギリシャ様式の重厚な外観が目を引く。内装もアーチ形の意匠で、天井の高さが風格ある空間をつくりだしている。街の来歴を物語る建造物の一つだろう。

 その熊本支店が来年1月、市中心街アーケード近くのビルに移転するという。そうなると跡地の行方が気になるところだが、同行は「移転後に建物をどうするかは現時点では未定」としている。

 熊本地震後、一帯の古町地区では主に明治以降の歴史的な「町屋」の解体が加速している。他方、市の中心部でも、熊本市役所花畑町別館(故・山田守氏設計)が既に姿を消しつつある。別館については地震前から一部市民が強く保存を求めていたが、市は「耐震補強しての改修には約20億円が必要」などとして解体に踏み切った。これらはいずれも街の“風貌”に厚みを与えてきた建造物だが、その存続は経済的な事情などに左右されてきた。

 古町地区では旧第一銀行熊本支店の保存例がよく知られている。1919(大正8)年の建築。老朽化のためいったんは県外のマンション業者に転売されたが、市民による保存運動を経て、東京の空調メーカーによる買い取り・保存活用にこぎ着けた。

 仮に歴史的な建造物をマンションやビルに衣替えするとしても、建物の一部をうまく活用しながら、風貌を維持する手法もあるという。保存に向けて知恵を絞ってほしいところだ。(農孝生)


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