くまにちコム:熊本のニュース速報なら熊本日日新聞

テキスト版サイトマップ


くまにちコム トップ > 社説・射程・新生面 > 射程 音楽教室と著作権


射程

音楽教室と著作権 2017年09月12日

 著作権保護が重要なのは当然だが、それが音楽文化の発展を阻害する可能性もある。悩ましい問題だ。

 テレビ・ラジオやカラオケなどでの楽曲使用料を徴収し、作詞家や作曲家らに分配する日本音楽著作権協会(JASRAC)は今年2月、ピアノやギターなどを学ぶ音楽教室から楽曲の演奏に伴う著作権使用料の徴収を始める方針を明らかにした。

 これに対して、教室を営む約250の会社・団体は、JASRACに使用料の徴収権限がないことの確認を求め東京地裁に提訴。今月初め初弁論が開かれ、事業者側は「徴収は教室にダメージを与え、音楽を学ぶ機会の減少につながる」と訴えた。

 著作権法は、公衆に向けて楽曲を演奏したり歌ったりする「演奏権」は著作者が専有すると定める。原告側は、音楽教室では公衆に向けた演奏をしておらず、この規定は適用されないと主張する。一方のJASRAC側は、事業者は楽曲を使い収入を得ているから対価を払って当然、と争う姿勢を示した。

 JASRACは2011年以降、ダンス教室や歌謡教室などに使用料徴収を拡大。音楽著作権管理事業では圧倒的なシェアを誇り、16年度の徴収額は約1118億円に上る。

 徴収のよりどころとなっているのが「カラオケの法理」だ。スナックなどで客がカラオケで歌うのは著作権法上「店の歌唱」と見なす。店は歌わせることで客を集め、利益を得ようとしているから、著作権者の許諾がない限り客の歌唱について責任を問われるという判断で、1988年の最高裁判決で示された。

 しかし、音楽教室での指導や練習のための演奏をカラオケと同列に扱うのは違和感がある。事業者側が主張する教育的側面にも配慮が必要だろう。著作権法は著作者の権利保護とともに文化の発展を掲げる。どちらも損なうことのないよう、両者は知恵を絞ってほしい。(土田隆)


射程 記事一覧



個人情報保護方針著作物の利用についてお問い合わせ

↑このページの先頭へもどる


無断転載は禁じます。「くまにちコム」に掲載の記事、写真等の著作権は熊本日日新聞社または、各情報提供者にあります。

Copyright(C) 熊本日日新聞社,All Rights Reserved.