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射程

「がちゆん」に託す思い 2017年08月13日

 突然命を奪われた人々、崩れ落ちた住まい-。被災地に立つと、不思議と“ある風景”を重ねてしまう。実際には見たことがない七十余年前の戦禍だ。

 自然災害は抗[あらが]いがたい。一方、戦争は一部の人間の意思や判断の結果であろう。多くの都市を焦土と化した当時の風景を映像で見ると、自然災害をも上回る恐ろしさを感じる。人々の平穏を打ち砕く戦争を繰り返してはならない、との思いが湧き上がってくる。

 戦後生まれが8割を超えた今、戦争の現実とどう向き合うか。北朝鮮の動きなど安全保障上の問題が深刻化しているだけに、その議論や平和教育は改めて取り組まなければならない課題だろう。戦争体験者に代わる語り部の育成といったさまざまな試みの中で、最近注目を集めているのが沖縄の若者たちが始めた教育プログラムだ。

 琉球大の学生が2014年に起業した株式会社「がちゆん」が提供するのは、対話重視の「平和共育」。受け身の講話ではなく、「日本の平和を創るためには」「米軍基地問題の本質を探ろう」といったテーマについて、修学旅行の高校生らと沖縄の大学生らが議論する場をコーディネートしている。既に延べ100校を受け入れ、参加した生徒は2万2500人を超えたという。

 社名には「がち(本気)で、ゆんたく(沖縄方言でおしゃべり)する」との意気込みを込めた。先日、来熊した社長の国仲瞬[しゅん]さん(24)は「自ら思考すること」の大切さを力説。基地問題などを巡る一般的な議論は、ある種の「テンプレート(ひな型)」の枠にとどまっていると指摘し、「思考停止にならず対話することが未来につながる」と熱い思いを語った。

 72回目の終戦記念日はもうすぐだ。平和の重みを「思考する」日にしたい。(小多崇)


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