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射程

行政文書と「知る権利」 2017年07月17日

 文部科学省は、加計学園の獣医学部新設計画を巡り「総理の意向」などと書かれた内部文書を職員の個人メモと認定、管理が不適切だったとして幹部3人を口頭で厳重注意した。専門教育課の共有フォルダーに保存されるべきものではないのに、入っていたという。平たく言えば、国民に公開すべき公式の行政文書ではないとの見解だ。

 公文書管理法は行政文書を「職員が職務上作成し、組織的に用いるもの」と定義。情報公開法は原則公開の対象としている。今回のケースでは、文書は担当職員間で閲覧できる状況にあり、組織的に共有された行政文書とみるのが妥当ではないか。

 この件を受け、菅義偉官房長官は行政文書と個人メモを「しっかり線引きすべきだ」と述べた。だが、専門家からは「個人メモの範囲を広げるように線引きしたいと聞こえる」との指摘もある。政府に都合の悪い文書を個人メモとみなし、情報公開を免れたいとの空気が広がるならば、国民の知る権利が危うくなる。

 森友学園問題でも行政文書の扱いで課題が浮き彫りとなった。各省庁は文書の保存期間を1年以上と判断すれば管理簿に記載する必要があるが、1年未満の文書の扱いは判断次第。財務省が「廃棄した」とする森友学園への国有地売却の記録も1年未満とした文書だった。

 現状では、役所が国民に知られたくない文書の保存を1年未満とし、葬り去ることも可能だ。全体の奉仕者である公務員がまさかそんなことは、と思いたいが。

 公文書管理の目的は、政策決定過程を透明にして現在と将来の国民に説明責任を果たすことだ。加計・森友という二つの問題を見れば、制度が十分とは言えまい。政府内で公文書管理ガイドラインの見直しが始まった。恣意[しい]的な判断が入り込む余地を極力なくし、風通しを良くする工夫が必要だ。(前田克)


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