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建設的な議論 2017年05月19日

 「言論の府である国会の中でプラカードを掲げても何も生まれません。意見の違いはあっても、真摯[しんし]かつ建設的な議論をたたかわせ、結果を出していこうではありませんか」。今年1月、今国会冒頭の施政方針演説で、安倍晋三首相はそう呼び掛けた。

 「プラカード」とは、先の臨時国会で民進党が「強行採決反対」などと書いたプラカードを掲げたことを当てこすったものである。プラカード持ち込みは野党時代の自民党も行ってきたが、確かに「言論の府」にそぐわないパフォーマンスではあろう。だが一方で、そういう首相自身が「真摯かつ建設的な議論」をたたかわす姿勢を示しているかについては、はなはだ疑問がある。

 3日の憲法記念日に、首相は憲法9条改正と2020年施行を唐突に提起。8日の衆院予算委員会では、その真意をただす質問に対して「党総裁としての考え方は読売新聞に書いてある。それを熟読していただきたい」と答弁し、まともに取り合わなかった。

 これは全くの国会軽視だし、その一方的な姿勢は、前述した施政方針演説の締めくくりで「日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」と訴えたこととも矛盾する。結局、首相の言う「建設的な議論」とは、異なる意見の持ち主との合意は重視せず、自身の意向に沿う結果を出すということではないのか。

 国民の十分な理解を得ているとは言い難い「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案についても、与党側はきょうの衆院法務委員会で採決を強行する構えだ。「強行採決反対」のプラカードがまた掲げられることになるのか。最近の国会では、熟議による合意形成とは程遠い与野党の分断ばかりが生まれているようだ。(泉潤)


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