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射程

AIとの向き合い方 2017年04月21日

 政府や産業界で人工知能(AI)の実用化が急ピッチで進んでいる。戦略的な取り組みとして評価の声がある一方、「AIが人間の仕事を奪うのでは」との脅威論も少なくない。共存へ向けた議論が大切だ。

 政府は子どもや高齢者が死亡したりけがをしたりした事故の情報を、AIで分析する検討を始めた。暮らしの中で起きる転倒や転落、誤嚥[ごえん]など、消費生活センターや自治体、医療機関から集約した計約19万件のデータ分析を人力でなくAIに委ね、再発防止策などにつなげる考えだ。

 民間の動きはもっと速い。米国では既に、融資の可否判断をAIに委ねる金融会社が存在し、政府の金融政策などをAIで予想し、株価の変動を予測する証券会社もある。国内でも営業マンが成約した際に使用した言葉や事例をAIに分析させ、業績アップを図る企業も出てきた。

 気掛かりなのは、こうしたAIの急速な進出に、AIとの共存や向き合い方についての議論が追いついていないように見えることだ。

 AIなどを活用した「第4次産業革命」が本格化すれば、多くの人が仕事を奪われるとの指摘がある。野村総合研究所は一昨年末、ロボットやAIにより、今後10~20年で日本の労働人口の49%は代替可能になるという衝撃的な研究結果を発表した。対象となる職業は受付係や一般事務員、スーパーの店員、タクシー運転手など100種にも及ぶ。

 だが、その対策や受け皿の議論は後回しになっている。産業効率を優先し、そのための技術開発だけが着々と進んでいるのが現状だ。

 政府は昨年発表した「日本再興戦略」で、AIの活用に合わせ、働き方改革を進めないと中間層崩壊を招くと警告したが、その通りだ。

 AIなどの導入と同時進行で、産業構造の転換に備えた働き方に対する意識改革や議論を重ねることが早急に求められる。(稲田稔丈)


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