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射程

競争維持に妙案あるか 2017年01月09日

 ふくおかフィナンシャルグループ(ふくおかFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)が目指す経営統合に対し、独占禁止法に基づく公正取引委員会の審査が長引いている。昨年6月に審査入りしたが、結論が出ないまま越年。予定する今年4月の統合は日程的に厳しくなり、両者は1月中にも延期するかどうか判断する。

 公取委が問題視するのは、統合による競争環境の変化だ。ふくおかFG傘下の親和銀行(佐世保市)と十八銀は長崎県内の貸出金シェア1、2位の地銀。経営統合後、合併する計画で、実現すればシェアは7割程度と圧倒的になる。

 健全な競争状態が保たれなければ、金利の上昇や高止まりといった利用者の不利益につながる恐れがある。ふくおかFGと十八銀は競争維持のための対応策を求められており、その点で難航しているようだ。

 過去には、ヤマダ電機によるベスト電器の買収が、競合店が不在となる人吉市などの8店舗を同業他社に売却することで認められた。それに倣えば、店舗を他の金融機関に譲渡する可能性もあるが、長年かけて築き上げた顧客との関係を自ら断ち切ることになり現実的ではない。

 そもそも、金融機関は県境を越えて貸出金の獲得を競っている。7割のシェアを握っても、金利までコントロールできないとの見方もある。

 昨年2月の統合発表会見で、両者は「銀行同士の競争に費やすエネルギーを、地域経済の活性化に注ぎたい」と強調した。長崎県は全国的にみても人口減のペースが速い。そこを地盤とする2行の統合は、国内市場の縮小を見据えた新たな再編モデルともなろう。

 一方で、今回の統合を公取委が安易に認めてしまえば、他業界も含めて今後の統合や合併に与える影響は大きい。膠着[こうちゃく]状態にも見える現状を打開する妙案はあるのか。しっかり見届けたい。(田川里美)


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