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射程

沖縄の「ポスト真実」 2017年01月06日

 英オックスフォード大出版局が、昨年注目を集めた言葉として、「客観的な事実や真実が重視されない時代」を意味する形容詞「ポスト真実」を選んだ。

 英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票や、トランプ氏が勝利した米大統領選の過程で、事実に反する主張がネットなどで大量に流れたことを受け、「真実よりも個人の感情や信念が重視される米英の風潮を表現している」と評価したという。

 こうした風潮は日本でも共通するものではないか。例えば一昨年6月、自民党本部で開かれた会合で、作家の百田尚樹氏が「米軍普天間飛行場は田んぼの中にあった。商売になるということで(人が)周りに住みだした」「基地の地主は年収何千万円なんですよ」と述べ、さらに「沖縄の二つの新聞はつぶさなあかん」と主張し、物議を醸した。

 地元紙・沖縄タイムスはこの発言をきっかけに、沖縄の基地問題を巡る論点を検証する企画記事を昨年、長期連載した。普天間の飛行場建設地にはもともと約9千人が住み、米軍の接収で土地を奪われた住民が割り当てられた飛行場周辺に住まわされたこと。基地地主の年間軍用地料収入は100万円未満の割合が5割を超え、500万円以上は1割にも満たないこと-などを、確実な資料に基づいて説明している。

 担当した同紙の福元大輔記者は、「地元の大学生までが、百田氏と同様にネットに流れたあやふやな情報を信じているとの話を聞いて危機感を抱いた。感情的な主張には、きちんとした事実を冷静に提示することが必要だと思った」という。

 冷静な論議がなされるべき政権与党の会合で、なぜ根拠のない言説が受け入れられ、乱暴な主張が拍手を浴びたのか。普天間移設やオスプレイ運用問題で、安倍政権の強引な進め方が目立つ今、その意味を改めて考えたい。(泉潤)


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