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射程

「幻滅期」と向き合う 2016年12月26日

 ことしも残り1週間を切った。せわしさの中で、時が加速していく。行く年を惜しみつつ、どこか気持ちの高まりも覚える年の瀬だが、例年と何かが違うと感じているのは筆者だけではあるまい。

 熊本地震から8カ月が過ぎた。クリスマスと重なった3連休には、南阿蘇村と西原村を結ぶ県道の俵山トンネルが再開されるなど、復旧・復興が目に見える形で進みつつある。しかし、被災者にとって暮らしが落ち着きを取り戻す時期は、現実が客観的に見えてくる時期でもある。

 地震発生後、被災者のカウンセリングに当たってきた県精神保健福祉センター次長の矢田部裕介医師によると、被災者の心理は「茫然[ぼうぜん]自失期」、連帯感が生じる「ハネムーン期」を経て、「幻滅期」へと移る。

 熊本地震では、仮設住宅が整った12月あたりからが、この幻滅期に入る。周囲では復興に向けた動きが本格化する一方、経済状況による住宅や生活再建の差が焦りや絶望に変わる。そんな時こそ、人の支えが必要だという。

 特に年末年始のケアの重要性を指摘するのは、東日本大震災を受け、岩手県で仮設住宅の見守りなどを続ける「@リアスNPOサポートセンター」(釜石市)の鹿野順一代表。東北では、支援団体が休暇で被災地を離れ、お年寄りが孤立しがちな年末年始に孤独死が増える傾向にあった。地域によっては、離れて暮らす家族が帰省しやすいよう仮設団地の集会所を宿泊用に開放したり、自治会による見守りを強化したりしたという。

 仮設住宅で暮らす県内の被災者は4万人超。果たして、どんな思いで新年を迎えるのだろうか。矢田部氏は、心の復興には「周囲がじっくりと話を聞き、不安を和らげることが最も大切」と話す。被災者の孤立を防ぐ丁寧な支援が、これまで以上に求められている。(毛利聖一)


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