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【斜光】ギャンブルと共依存 2016年12月25日

 さて、ギャンブル依存症である。政府はやっと実態調査を行う。カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法の成立を受けてのことだ。「ドロナワ」の印象は避けがたいものの、いくつかの視点を提供したい。

 政府がこれまできちんとした調査を行わなかったため、民間には多くの研究、治療などの記録と考察が蓄積している。まず、それらを謙虚に受け止めることから始めてほしい。

 初めてギャンブル依存症者に出会ったのは、もう20年も前のこと。県内の精神科病院の閉鎖病棟に中年男性がいた。仕事は農業だが、パチンコに通い詰めた。増えた借金は畑を売って清算していた。閉鎖病棟に不満はないのかと聞くと、男性は苦笑した。「開放(病棟)なら、いつの間にかパチンコに座っとるもんな」

 この男性は典型例だったと思う。脳内にギャンブルがもたらす刺激(快感)への依存回路ができており、自分の意志ではなかなか抑制できない。アルコールや麻薬への依存と同じで、病気と言われるゆえんだ。

 同じころ、横浜に「ワンデーポート」が開所したので訪ねた。依存者の立ち直りには自助的なグループ活動が有効とされており、それを宿泊型の施設で行っていた。当時としては先進的な試みだったが、現在は一人一人の状況を重視することにより力を入れている。ギャンブル依存には他の依存症、精神障害、発達障害、家族問題などが重なっているケースが多いためだ。最初にギャンブル依存としてしまうと、見えるものが見えなくなる恐れもあるという。

 結局は、社会的な課題がギャンブル依存という形になって表れている。政府の調査は、そこを直視しなければならない。

 日本のギャンブル依存症者は約530万人。数が多いのは、パチンコ店が約1万2千軒もあることが影響している。パチンコの射幸性もまだ高い。この事実をどう考えるのか。

 パチンコの営業を規制しているのは警察とその関連機関だ。それなのに課題が多い。両者の癒着の結果と言えば、警察は怒るだろう。別の表現をしよう。依存者と叱る人(尻拭いもする人)との関係は「共依存」と呼ばれ、結局は問題を進行させてしまう。パチンコ業界と警察の間にも似たような関係があるのではないか。

 共依存の研究も進んでいる。調査の関係者もぜひ頭に入れておかれますように。(春木進)


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