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社説

「加計」認可保留 開かれた場での審議必要だ 2017年08月12日

 学校法人「加計学園」が政府の国家戦略特区を活用して愛媛県今治市で進めている獣医学部の新設計画について、文部科学省の大学設置・学校法人審議会は認可するかどうかの判断を保留する方針を固めた。実習計画などが不十分で、学生の教育環境が整っていないと判断したとみられる。

 加計学園の獣医学部新設を巡っては、前川喜平前文科事務次官が国会で、首相官邸や内閣府から設置認可の手続きを早めるよう圧力がかかり、行政がゆがめられたと証言。安倍晋三首相と加計学園の理事長との親密な関係が焦点となり、野党は特区の事業者選定自体が「加計ありき」だったと批判を強めている。

 設置審は学園側に計画の見直しを求めた上で審議を続ける。野党は審議の経緯を公開するよう求めているが、文科省は「設置審はいろいろな声に左右されることなく審査する」「他の大学と同じルールでやる」と公開に否定的だ。

 会合は非公開で行われるが、加計問題に対する疑念は深まり、行政の公平公正を問う声もかつてなく高まっている。非公開で審議を続け、結論を出した後で議論の概要を示すようなやり方では国民は到底納得しないだろう。文科省は事態を重く受け止め、開かれた場で審議を進めるべきだ。

 加計学園は3月、国際的な獣医学教育や家畜の感染症防止の拠点化などを掲げ、定員160人という大規模な獣医学部の設置認可を申請した。認可されれば、全国の獣医師養成学部の総定員は2割増となる。

 設置審は5月、教育の質の確保に問題があるとして入学定員や教員の構成などについて再考を促した。学園側は教員を増員するなど計画を修正したが、設置審が9日に開いた会合では、学生の実習計画が不十分で、学園側が掲げるライフサイエンス分野の獣医師養成に課題があるとの意見で一致。教員の顔触れも、65歳以上の年配者や、教員経験のない若手の割合が他の大学に比べ高かったという。

 政府は学園の計画について、2015年6月に閣議決定した獣医学部新設の4条件を満たしていると強調してきた。(1)既存の獣医師養成ではない構想(2)新分野の獣医師に需要がある(3)既存の大学・学部では対応が困難(4)近年の獣医師の需要動向を考慮する-というものだ。

 だが、前川氏は閉会中審査で、加計学園が特区の事業者に選定された過程について「4条件に合致するか十分な議論がされてない」と述べていた。設置審が認可の判断を保留したことで、その疑念はいっそう深まった。

 保留の判断自体は珍しいことではなく、大学側が課題をクリアすれば不認可となるケースはほとんどないという。だが、加計問題を巡っては、事業者に選定された過程の大半がやぶの中だ。こうした状況下で設置審はどんな結論を導くのか。「認可ありき」の疑念を生まないためにも審議を公開し、透明性を高めるべきだ。


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