くまにちコム:熊本のニュース速報なら熊本日日新聞

テキスト版サイトマップ


くまにちコム トップ > 社説・射程・新生面 > 社説 1~3月期GDP 内需主導の成長には遠く


社説

1~3月期GDP 内需主導の成長には遠く 2017年05月19日

 内閣府が18日発表した1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)速報値は、物価変動を除く実質で前期比0・5%増、年率換算2・2%増だった。2016年10~12月期の年率1・4%増を上回り、約11年ぶりに5四半期連続のプラス成長を達成した。

 ただ、景気実感に近いとされる名目GDPは前期比0・03%減、年率換算で0・1%減と5四半期ぶりのマイナスだった。政府は「緩やかな景気回復が続いている」とするが、景気拡大の実感は乏しいままだ。

 実質GDPの内訳を見ると、成長をけん引したのは、堅調な海外経済を背景に前期比2・1%増となった輸出だ。米国向けの自動車は伸び悩んだものの、中国向けの半導体関連の好調が続いた。

 しかし、緊迫する北朝鮮情勢に加え、ロシア絡みの疑惑を巡ってトランプ米大統領の政権運営は波乱含みの様相だ。外需主導の成長には不安材料も多い。

 設備投資は0・2%増で、前期の0・9%増から減速した。トランプ氏の保護主義的な政策への警戒感が表れた可能性もある。0・7%増だった住宅投資も、東京五輪の選手村着工という特殊要因が数字を押し上げた側面がある。

 内需の柱である個人消費は0・4%増と、横ばい圏を脱した。スマートフォンや衣料品が好調で、前期に落ち込んだ食品も回復した。

 生鮮食品の値上がりが収まり、悪天候や大災害などの押し下げ要因もなかったためとみられる。しかし、景気を主導する勢いはまだ見られない。3月の2人以上世帯の家計調査でも、1世帯当たりの実質消費支出は13カ月連続で前年同月を下回った。

 同時に発表された16年度の実質GDPは前年度比1・3%増、名目は1・2%増の537兆9千億円で過去最高となった。円高是正により上場企業の純利益合計も過去最高水準となっている。

 それらを背景に賃上げが実現し、個人消費が回復。その結果、設備投資や生産、雇用が拡大して企業収益が改善し、再び賃上げにつながるという好循環を確立することで、内需主導の力強い成長を実現する必要があろう。そのためには、好調な輸出に加えて個人消費も上向いているという現在の流れを強めていくことが求められている。

 しかし、国の財政や年金、医療、介護などの社会保障への不安で、若者や子育て世代を中心に消費者の節約志向は根強い。政府・日銀が目指すように物価が上昇すれば、家計の防衛意識がさらに強まりかねない。

 また、大企業を中心に収益改善が進むものの、今春闘での賃上げ率は前年並みと勢いは鈍い。雇用の改善が続き、人手不足感は強まっているのに賃金は伸び悩む。経済の好循環を実現し、デフレを脱却するには程遠いのが現状だ。政府は、国民や企業経営者の将来不安を取り除く施策により一層注力するべきだ。


社説 記事一覧



個人情報保護方針著作物の利用についてお問い合わせ

↑このページの先頭へもどる


無断転載は禁じます。「くまにちコム」に掲載の記事、写真等の著作権は熊本日日新聞社または、各情報提供者にあります。

Copyright(C) 熊本日日新聞社,All Rights Reserved.