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衆院区割り勧告 抜本改革の論議欠かせない 2017年04月21日

 1996年に衆院に現行の小選挙区比例代表並立制が導入されて以来の大改定である。衆院選挙区画定審議会が小選挙区定数を「0増6減」し、1票の格差を是正する区割り改定案を安倍晋三首相に勧告した。熊本県の定数は5から4に減少。現行の熊本4区は3分割され、2、3、5区にそれぞれ統合する、とした。

 県内では全選挙区の線引きが変更になり、次期衆院選への影響は大きい。与野党の動きが今後活発化しようが、何より国や自治体が新たな選挙区に関する情報の周知徹底に努め、有権者の混乱を抑える必要がある。

 勧告は、熊本をはじめ6県の小選挙区の定数をそれぞれ1減し、6県を含む19都道府県の97選挙区の区域を見直した。

 区割り見直しの背景には、直近の衆院選を巡る1票の格差訴訟で最高裁が「違憲状態」と判断したことが大きい。憲法の「法の下の平等」の概念から1票の投票価値が等しくなるよう格差是正を進めなければならないのは当然だ。

 ただその一方で、熊本のように定数が削減される選挙区では「地方の声が国政に届きにくくなる」との不安が大きい。熊本地震で復旧復興を急ぐ中、地域の実情を国に伝えるパイプ役が必要なだけに、なおさらだ。定数減で議員一人一人の職責は、これまで以上に大きくなると言えよう。

 新たな区割りを見れば、例えば新熊本4区の場合、天草や人吉・球磨といった県南エリアがすっぽりと同じ選挙区になるなど、小選挙区とは思えないほどエリアが広がる。国会議員がこれまで以上に遠い存在となり、ひいては国政への関心が低下しないか心配だ。

 別々の小選挙区に分断される市区町村が解消されないのも問題として挙げられる。県内では一つの行政区が二つの選挙区に割れていた熊本市、山都町に見られたが、今回の勧告で解消した。その一方で、全国ではそうしたケースが17も増える。区割り改定案の作成方針では「市区町村の区域は原則分割しない」としながら、格差是正を優先したためだ。

 政府、与党は今回の勧告内容と九州など比例代表の4ブロックで定数1減を反映させた公職選挙法改正案を今国会に提出し、成立を目指す。周知期間を経て7月ごろに新たな区割りが施行される見通しだ。ただ衆院選挙制度改革関連法に基づき、小選挙区の定数配分は2020年の国勢調査を踏まえて、再度検討されることになっている。

 人口比をより反映させやすい議席配分方法「アダムズ方式」を採用予定だが、このまま人口比だけを基準に検討を進めれば、大都市圏への人口集中が続く中では地方の議員定数がさらに減ると予想される。

 最近の選挙では、多数を占めた政党が得票率以上の議席を獲得する小選挙区の課題も指摘されている。地方の声をどう反映させるかを含め、選挙制度そのものを抜本的に見直す必要があろう。


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