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籠池氏証人喚問 裏で力が働いたのか究明を 2017年03月20日

 大阪市の学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長の証人喚問が23日、衆参両院の予算委員会で行われる。小学校の建設用地として評価額より格安で国有地が払い下げられた経緯や、政治家関与の有無などが焦点となる。

 共同通信が実施した世論調査では、国有地払い下げ問題について86・5%が「適切だと思わない」と回答。「幕引きは許さない」と反発の声も出ている。証人喚問での虚偽答弁は刑罰の対象となる。格安払い下げの裏で、何かの力が働いたのか否か-。強力な国政調査権を与えられている国会の存在意義も問われており、徹底的に究明してもらいたい。

 与党は籠池氏の参考人招致すら拒否していたが、世論の批判が強く、一転して野党と証人喚問で合意した。政権としては偽証罪に問われかねない舞台を用意すれば、籠池氏の一方的な発言を封じられると判断し、早期の幕引きを図りたい思惑があるのだろう。

 きっかけとなったのは、安倍晋三首相の昭恵夫人から寄付金100万円を受け取ったという籠池氏の発言だ。これに対し、首相は「私は寄付を行っておらず、妻個人としても寄付を行っていない」と真っ向から否定した。両者の言い分は食い違っており、ここは国会の場で白黒をはっきりさせるしかあるまい。籠池氏もその言葉の責任の重さを自覚し、真実を包み隠さずに語ってほしい。

 首相は先月の衆院予算委員会で、小学校の認可や国有地の払い下げへの関与を否定した上で「私や妻、事務所が関わっていれば、首相も国会議員も辞める」と断言した。籠池氏が同じような主張を貫けば、首相にも立証責任があるはずだ。単に否定するだけでは、疑惑は払拭[ふっしょく]できない。

 一連の問題の背景には、行政に「忖度[そんたく]」を生じさせる可能性が大きい昭恵夫人が、国有地払い下げを待つ特定の民間法人を「名誉校長」に就くなどして支援したことにある。学園側は首相夫人を広告塔にし、寄付金集めなどに利用したのだろう。首相夫人の言動は社会的な影響力を持つ。昭恵夫人も自身の言葉で疑惑に対してきちんと説明すべきではないか。

 稲田朋美防衛相の閣僚としての資質も問われている。森友学園との関係を否定しながら、同学園の民事訴訟で原告代理人弁護士として裁判に出廷していたことが明らかになると、一転して答弁を撤回した。「自らの記憶に基づいて答弁した」と釈明したが、これでは稲田氏の他の答弁についても信ぴょう性を疑いたくなる。

 政治家の口利きを籠池氏が否定したとしても、それで一件落着ではない。なぜ国有地が大幅に値引きされ、しかも短期間のうちに払い下げられたのか。一連の経緯を明らかにするには、当時の財務省理財局長らの証人喚問も必要だ。

 疑惑は多岐にわたる。しかも社会的に影響力のある首相や家族、側近閣僚の言動の是非に関わる問題だ。籠池氏の証人喚問は真相究明の第一歩にすぎない。


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