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社説

ふっこう割終了 「おもてなし力」が問われる 2017年01月11日

 熊本地震の復興支援を目的に国が助成する割引旅行商品「九州ふっこう割」が昨年末で終了した。昨年7月から半年間にわたって観光振興に貢献したが、県内の観光地にとって正念場はこれからだ。一日も早い「完全復活」へ、さらなる努力が必要だ。

 九州7県などでつくる九州観光推進機構は、九州全体で発生する宿泊のキャンセル数を150万泊と見込み、昨年7~12月に最大70%の割引率を設定した。事業費は国の熊本地震復旧等予備費から約180億円が交付され、九州7県への配分は熊本に最多の65億6千万円と手厚く、大分にも60億9千万円が配分された。

 利用宿泊者数は、第1期(7~9月)で約146万8千人。第2期(10~12月)も含めた最終目標150万人をほぼ達成した。このうち県内は43万1千人と、最終目標の33万人を第1期だけで10万人上回った。県観光課は「7~8月の宿泊客は前年並みに回復し、その2割がふっこう割の利用者だった。観光需要の回復に一定の効果をもたらした」と分析する。

 ただ、県別では大分が50万6千人でトップ。熊本は7万人以上も少なかった。熊本城や阿蘇が被災した影響もあるが、やはり「熊本全体の被害が大きい」とのイメージを完全に拭うことができなかったのが大きいのではないか。

 さらに気掛かりな点もある。第2期の集計結果は春ごろになる見込みだが、割引率が引き下げられたこともあり、第1期に比べ明らかに減速。観光需要を「先食い」した形となり、県内の各観光地の今年1~2月の予約状況は良くないのが実情だ。昨年11月には九州7県の知事らが宿泊客の反動減を懸念し、観光庁などへ支援策の継続を要望した。

 ただ、一度訪れた観光客には「熊本は地震後も変わらず、素晴らしい所だ」と理解してもらえたはずだ。その人たちが再訪すれば、反動減の影響も小さくなろう。そういったリピーター取り込みに向けて、既に県内各地で努力が始まっている。

 例えば、県球磨地域振興局は地方創生交付金を活用し、1~2月に人吉球磨の41施設で宿泊代金が半額になるクーポンを発行。玉名市は3月末まで地元温泉の宿泊が1人5千円割引となる「ふるさと応援旅行券」を導入した。

 昨年12月には、八代市の八代妙見祭を含む18府県33件の「山・鉾[ほこ]・屋台行事」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産となった。地震以来、不通になっていた県道熊本高森線の俵山ルート(西原村~南阿蘇村)も約8カ月ぶりに開通した。こうしたことも追い風にしたい。

 観光誘客には、財政的な支援に加え、地域を挙げたメッセージが求められる。問われるのは、観光客に価格以上と感じさせるおもてなしができるかどうかであろう。地震後の宿泊客に手紙で感謝を伝えている阿蘇や天草の宿泊施設も少なくない。熊本の「おもてなし力」を発揮したい。


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