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新生面

10月12日付 2017年10月12日

 <春暮れてのち夏になり、夏果てて秋の来るにはあらず。春はやがて夏の気を催し、夏よりすでに秋は通ひ、秋はすなはち寒くなり…>。季節は一瞬にして変わるのではなく、川の流れのように徐々に変化していく。四季の移ろいをつづった「徒然草」の一節だ▼「秋はすなはち寒くなり」どころか、このところ季節が後戻りしたような暑さが続いている。二十四節気でいえば「寒露」の時季だが、言葉から受けるイメージとは程遠い▼地球温暖化の影響なのかどうか、季節感と実際の気候のずれが少しずつ広がっている気がする。数年前に環境省が実施したアンケートでも「四季を感じられない」「春と秋が短くなった」など、温暖化による季節感の喪失を訴える声が多かったという▼このまま温暖化が進むとどういう現象が起きるか。黄砂は春だけでなく一年中飛んでくる、竜巻が頻発する、梅雨が長引く。台風の数は減るが非常に強力になる-。異常気象分析検討会会長の中村尚・東大教授は、そんなケースを挙げる(「『日本の四季』がなくなる日」小学館新書)▼今世紀末には、今の秋の終わりや春の初めのような気候が11月から3月ごろまで続くこともあり得るという。冬がなくなってしまうということか▼時候を表す言葉には、二十四節気に加え、一つの節気をさらに三つに分けた七十二候があり、5、6日ごとに呼び方がある。それだけ季節の変化と人々の暮らしは密接につながってきた。四季がなければ徒然草のような名文も生まれまい。


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