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新生面

10月8日付 2017年10月08日

 「核兵器がこの世からなくなるのを見届けなければ、安心して死ねない」-。8月末、88歳で亡くなった谷口稜曄[すみてる]さんは7年前、国連本部で開かれた核拡散防止条約再検討会議でこう訴えた▼16歳で長崎原爆に遭い、体が焼けただれた。米軍が撮影した写真「赤い背中の少年」の被写体だ。反核運動をけん引してきた谷口さん。悲願だった「核なき世界」を見ることはかなわなかったが、この知らせを聞けばさぞ喜んだことだろう▼国際非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」へのノーベル平和賞授与が決まった。核兵器を史上初めて非合法化する核兵器禁止条約の制定に向け「革新的な努力」を尽くしたのが理由だ▼ICANは各国で市民討論会を開くなど啓発活動を続け、禁止条約交渉入りを働き掛けた。中核メンバーの川崎哲さんは、「核兵器によって安全が得られる」という発想が生き続ける限り核拡散は止まらず、世界はますます危険にさらされる、と訴える(『戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法』合同出版)▼だがICANや被爆者らの訴えにもかかわらず、米国やロシアなど核保有国は禁止条約に参加していない。米国の「核の傘」に頼る日本も同様だ▼それどころか核・ミサイル開発を続ける北朝鮮情勢を受け、米軍核兵器の日本配備を議論するべきでは、との声もある。「核と人間は決して共存できません」。谷口さんはこんなメッセージも残した。世界中が耳を傾ける日は果たして来るのだろうか。


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