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新生面

9月13日付 2017年09月13日

 作家の川上弘美さんは、「心配性なので、かばんにたくさんの荷物を持って、歩く」という。ハンカチ2枚、ちり紙二包み、本2冊、夏ならば扇子に黒眼鏡、日傘に天瓜粉[てんかふん]…。実際に使うことはあまりなく、そのくせ大事な財布を入れ忘れたりする▼秋になると、黒眼鏡や日傘の代わりに目薬や辞書を入れて、本ももう1冊。「こういうのは、心配性などという言葉で片づけられるものではないかもしれない。かばん症とでも呼べばいいのか」と嘆く(『あるようなないような』中公文庫)▼川上さんの知り合いには、本7冊と雑誌4冊を持ち歩く人も。あまりの重さにかばんの持ち手が取れ、1日で全部は読めないとようやく気づいたのだとか。ずしりと重たい自分のかばんを思うと、人ごととは思えない▼かばんならぬ、こちらの新たな“看板”政策にも中身がぎっしりと詰まっている。安倍首相が掲げる「人づくり革命」の議論が始まった。教育無償化や大学改革、企業の採用多元化、社会保障制度改革…。いずれも重たい課題ばかり▼格差社会のセーフティーネットとなり、長寿社会の活力を引き出すような踏み込んだ議論を期待したい。ただ巨額の財源を確保できる見通しはなく、大事な財布探しはこれからの焦点となる▼「地方創生」「1億総活躍」「働き方改革」など目玉政策は毎年のように打ち出されるが、いずれも道半ばである。効果の検証もなく、看板掛け替えだけならば今回の議論の行方も心配だ。“看板症”とでも呼べばいいのか。


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