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新生面

6月19日付 2017年06月19日

 自宅近くの飲食店の壁に、福沢諭吉の「心訓」なる額が飾られている。訪れる度に目がいくそれには、例えばこんなくだりが-。<一、世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つという事です>▼調べてみると、どうやら福沢の作とは言えないもののようだが、一つ一つはどれも身に染みる高邁[こうまい]な訓で[おしえ]ある。<一、世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事です><一、世の中で一番さびしい事は、する仕事のない事です>▼さらに挙げれば、<一、世の中で一番尊い事は、人の為[ため]に奉仕し決して恩に着せない事です>。わが身を振り返らざるを得ない言葉の数々。もう、手遅れかも▼そこはおかせてもらうとして、ふと「全体の奉仕者」に思いが至るのは世間をにぎわす森友・加計問題があるからだろう。霞が関の官僚の面々には当然、国家、国民のために力を尽くす誇り、使命感があるはずだが、昨今はどうも気になる▼文書が「ある」だの、「ない」だの。総理の意向発言が「あった」だの、「なかった」だの。明晰[めいせき]な頭脳の持ち主であろう人たちが苦しげに話す姿は見るに堪えない。それが人事権まで掌握する政治主導の成せる業とすれば、その罪は重い▼財務官僚から弁護士に転じた山口真由さんは自著『いいエリート、わるいエリート』(新潮新書)で辞めた理由を語っている。「この国という存在が、自分が全力をかけて信じる対象になっているかどうか…私の答えは『否』でした」。「否」が増えないことを祈る。


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