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新生面

2月10日付 2017年02月10日

 「思う」と「考える」はどう違う。大ベストセラーになった国語学者の大野晋さんの著書『日本語練習帳』(岩波新書)を眺めていたら、こんな問題を見つけた▼言葉を扱う仕事柄、即答するべきだが、思わず考え込んでしまうのが悲しいところ。大野さんによれば、「思う」は一つのイメージが心の中に出来上がっていて変わらずにあること。二つ、あるいは三つを比べて、選択して構成するのが「考える」だそうだ▼鋭い言語感覚に感服するばかりだが、それでは「戦闘」と「武力衝突」はどう違うのか。国会ではそれを説明しようと、稲田朋美防衛相が自らの言語感覚を遺憾なく発揮している▼防衛省が当初、廃棄したと説明していた南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報が保管されていた問題だ。一部公開された日報には、「衝突は市内全域の戦闘へと拡大」「戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘」などと緊迫した状況が記されていた▼現地では昨年7月、大統領派と反政府勢力の戦闘で270人以上が死亡。日報は「国連活動の停止」にまで言及しているが、稲田氏はあくまで一般的用語としての「戦闘」であり、法的な意味での「戦闘行為」ではなく「武力衝突」だとする▼何とも分かりにくく、牽強付会[けんきょうふかい]の説明のよう。だが国連関係者は先ごろ、南スーダンで大虐殺が起きる恐れを改めて警告した。現地で体を張っているのは自衛隊員だ。ここは派遣継続ありきと「思い込む」のではなく、冷静に「考える」ところだろう。


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