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新生面

2月5日付 2017年02月05日

 豊臣秀吉のキリシタン禁止令で、京阪地方の宣教師や日本人信徒ら26人が長崎に連行され処刑されたのは420年前、1597年の今日のことだ▼殉教の地は小高い公園になっているが、もとは海に突き出た岬だった。信者らが、キリストが十字架にかけられたゴルゴダの丘に似ているとしてこの地での処刑を望んだともされる。江戸時代へと続く長いキリスト教弾圧の幕開けであった▼その暗く重苦しい迫害を描いた故遠藤周作さんの小説「沈黙」が映画化され、上映中だ。激しい拷問にさらされつつも、信仰を守って殉教していく農民たち。「神はなぜ黙ったままなのか」と苦悶[くもん]する宣教師は、最後は農民の命を守るために踏み絵を踏む…▼棄教を扱った小説は、当初教会から激しく非難されたという。しかし遠藤さんは別の作品で書いている。弱者たち(棄教者)は黙殺されてきたが、我々[われわれ]と同じ人間。心ならずも自分の理想を裏切った時は、涙を流したはずだ。彼らを沈黙の灰の底に消してしまいたくはなかった、と▼弱者へのまなざしが伝わってくる。遠藤さんの問いは、人として大切なものは、という問いでもあろう。弱者を踏み台にしてでも自分を貫くのか、それとも弱者に寄り添うか▼米国の繁栄のためなら何でもあり、果ては拷問の効果まで認めるトランプ大統領に対し、「まずは日米同盟」とだんまりを決め、派手な経済協力の道をも探る安倍晋三首相。ひと括[くく]りにするわけではないが、弱者への心配りが感じられないのが気掛かりだ。


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