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新生面

2月2日付 2017年02月02日

 南極では内陸から沿岸に吹く風を「カタバ風」と呼ぶそうだ。気象観測のための小型無人機も飛ばせないほど強い風のよう。昨年末から南極観測隊に同行している熊本県民テレビ報道部の中田浩毅さん(45)が、同社ホームページで紹介している▼中田さんは今月中旬まで昭和基地に滞在する予定だ。その昭和基地は、ことし開設60年を迎えた。日本の南極観測の拠点であり、送り込まれた越冬隊員は延べ3400人近くに上る。地球温暖化に関する調査などに携わり、隕石[いんせき]やオゾンホールの発見といった成果を上げてきた▼日本と南極の付き合いは古く、1912(明治45)年、白瀬矗[のぶ]陸軍中尉らの初上陸にさかのぼる。白瀬中尉は日章旗を立てて「この南緯80度5分というところは日本の領土として占領する」と宣言した、と自著「南極大陸に立つ」(毎日ワンズ)にある▼南極観測船の名の由来となった人物だが、実際は南極はどの国にも属していない。日本など50カ国以上で締約する南極条約で「領土権主張の凍結」がうたわれている▼南極は国際協調が保たれる数少ない場所なのだが、この地も“他国などお構いなし”という昨今の「風」と無縁ではなさそう。トランプ米大統領は「地球温暖化はでっち上げ」と主張。気候変動研究への補助金凍結など、温暖化対策の機運に冷水を浴びせる▼温暖化が進めば、地球環境を映す鏡とされる南極への影響もさらに深刻となろう。世界の空気や風向きを読む観測機能は今のワシントンにこそ必要のようだ。


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