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体で舌で「秋の実り」実感
熊本市の小学生が農業体験
かま使い稲刈りに挑戦 新米「おいしい!!」 菊池市 |
「収穫」「食欲」「学習」の秋真っ盛り。子どもたちに、農作物の収穫や料理などを通して「食」を身近に感じてもらう「チャレンジ農業&料理体験inきくち」がこのほど実施された。熊本市の小学生十人が一泊二日で、菊池市の農家やJA菊池の女性部、地元の食の名人たちに“弟子入り”する試みで、同市のNPO法人「ひとづくりくまもとネット」(理事長、中川保敬・熊本大教育学部教授)が企画。子どもたちの活動と、「食」を取り巻く現状などを紹介する。(飯村直亮)
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| 70アールの田んぼから刈り取った稲を積み重ねる子どもたち。コメは県の主力品種ヒノヒカリだ=菊池市 |
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| 稲刈りを前に、地元農家からかまの使い方などを聞く。ほとんどの子どもがかまを使うのは初めて=菊池市 |
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| 栄養士手づくりの栄養カルタで「食」の勉強。「ぬるぬる納豆 優れた食べ物」「お菓子を食べても 食事にならない」=菊池市 |
同ネットは昨年十一月、研究成果を社会に還元しようと、熊本大の教職員らを中心に発足。食と農に関するプログラムを実施するのは今回初めてだ。事務局の本田智士さん(29)は「最近、子どもたちの食生活の乱れが指摘されており、このプログラムを通じて食に関する関心を高めてほしい」と企画の狙いを話す。
本田さんが懸念する食の乱れは、例えば朝食に表れている。
日本スポーツ振興センターが、全国の小中学生と保護者、小中学校教諭合わせて二万六千七百八十六人に聞いた「児童生徒の食生活等実態調査(二〇〇五年度)」によると、朝食を「食べない」か「食べないことがある」という小学生は約15%、中学生は約20%もいた。朝食を「一人で食べる」もそれぞれ15%と34%だ。
好天に恵まれた十月中旬の週末。「ひとづくりくまもとネット」が募った体験事業に参加した十人は、熊本市の託麻原小と託麻東小の三、四年生。
一行が向かったのは、菊池市下河原の松島地区。五十八世帯の典型的な中山間地だ。
■初めての体験
子どもたちが収穫作業をする約七十アールの田んぼに植えられているのは、県の主力品種ヒノヒカリ。県農産課によると、県内全体のコメの作付け面積は約四万二千ヘクタール。このうち、ほぼ半分の49%をヒノヒカリが占める。県が作付けを奨励している品種で、食味が良く、価格も安定しているのが人気の理由だという。
地元農家の横田勇さん(56)から、かまの使い方などの説明を受けて稲刈り。ほとんどの子どもが初めてで、「腰が痛い」「手が疲れた」などと言いながら楽しそうだった。
横田さんが刈り取ったばかりの稲穂を手に、「この粒の殻をむいたものが玄米というんだよ」と教えると、子どもたちは殻をむいて、取れたての新米をその場で“試食”。託麻原小三年の国米見佳さん(9つ)は「何だか小麦粉の味がしておいしい」と笑った。家庭ではふつう、この玄米を精米した白米を食べる。
ところで、日本人一人あたりの米の消費量は、一九六二年の一一八・三キロをピークに減り続け、二〇〇五年には六一・四キロになっている。同年の県内総農家数は七万四千戸。この二十年間で32%も減った。横田さんは「農業後継者はどんどん減っている。農業体験を通じて食べ物の生産現場に関心を持ってもらい、いなかの応援団になってほしい」と話していた。
■「栄養カルタ」
宿泊は、菊池水源近くの菊池少年自然の家。夕食の後、「食の講習」があり、熊本市から栄養士二人が加わった。託麻原小の田中忍さん(27)と、藤園中の藤山あゆみさん(25)で、手づくりの「栄養カルタ」持参だ。
「ぬるぬる納豆 優れた食べ物」「お菓子を食べても 食事にならない」。田中さんが読み終わる前に、子どもたちが一斉にカルタに飛び付く。
大騒ぎの子どもたちに、藤山さんが「給食の納豆は県産大豆を使っています。残さず食べましょう。お菓子には砂糖がいっぱい。食べ過ぎると太りますよ」と、読み上げた内容にまつわるエピソードや心がけをアドバイス。この日は、子どもたちにとって“収穫”の多い一日だったようだ。
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| 菊池地方に伝わるおやつの「ゆべし」を竹の皮に包む子どもたち=菊池市 |
地元食材で郷土料理作り だんご汁、ゆべし上手に
「チャレンジ農業&料理体験」二日目の舞台は、菊池市原の「水迫里山の家」の調理室。地元の食材を使った郷土料理に取り組んだ。指導は菊池市、合志市、大津町、菊陽町などが認定した食の名人「菊池うまかもん衆」の、中津スヤ子さん(69)と葛原清子さん(64)だ。
「うまかもん衆」は、地産地消や食育推進を目的に一九九三(平成五)年度に発足。現在、八十五人が認定されている。メンバーはそれぞれ、地域の学校や公民館などで料理教室を開き、地元の食材を使った郷土料理や、農産加工食品作りの技術などを伝えている。多い人で年間二十五日から三十日ほど活動しているという。
この日のメニューはだんご汁とゆべし。もちろん、だんご汁に使う小麦粉やみそ、サトイモ、ゴボウなどの食材はすべて地元産。中津さんによると、ゆべしはコメの粉にゆずやみそ、砂糖を混ぜ合わせ、竹の皮に包んで蒸したおやつで、菊池地方の郷土料理だ。
たまに家で料理を手伝うという託麻原小四年の木南瑞希さん(10)。水でもどした干しシイタケを切るのに手間取っていたが、「手前から押しながら切るように教えてもらったら上手に切れた」とうれしそう。
二時間かけて昼食の準備が整った。新米のおにぎりも用意されている。どれも素朴な料理だが、ほとんどの子どもが残さず平らげた。
葛原さんは「どんな食べ物も買うことができる時代。だからこそ、食べ物が食卓に上がるまでにどれだけ手間がかかるかを知ってもらい、食べ物のありがたさを感じてほしい」と話していた。
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| 熊本日日新聞2007年10月24日朝刊 |
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