食考くまもと2007

安心安全にこだわり
「こんにちは熊日です」関連イベント 水俣市立総合医療センター料理教室
食事は治療の一環…地元食材を優先使用 病院食のノウハウ住民にも提供

 水俣市で三日開かれた熊本日日新聞社の地域交流事業「こんにちは熊日です」で、関連イベントとして「食考くまもと料理教室」があった。参加者は、地産食材を生かした安心安全で栄養バランスに優れた料理に取り組んだ。(文・山本遼、写真・武田文男)

津奈木小の児童
地元特産のタチウオなどを使って行われた料理教室=水俣市・もやい館
授業の黒板
(手前左から)えび飯、タチウオのあんかけ(後列左から)お手軽ピクルス、鶏ささ身の甘夏あえ、梅ゼリー
パワーアップシート
参加者は4つのグループに分かれて調理。出来上がった料理はさっそく試食した
 講師は同市立総合医療センター栄養科長の山下茂子さん(55)など五人の管理栄養士。献立は、干しエビの戻し汁で風味付けした「えび飯」と、旬を迎えたタチウオのあんかけ、鶏ささ身の甘夏あえ、一昨年に漬け込んだ梅のゼリー、サラダタマネギとパプリカのピクルスの五品。エビやタチウオ、甘夏などの地元食材を一品に必ず一種類以上取り入れ、ボリュームも十分。しかも塩分は三・七グラム、総熱量は六百七十キロカロリーと控えめだ。

 教室には水俣市や八代市などから主婦など約三十人が参加し、講師のアドバイスを受けながら調理した。熊本市の飲食店従業員、吉岡秀樹さん(33)は「料理はまず食材ありきで、旬の食材を生かす調理を心掛けるべきだとあらためて思った」。水俣市で食堂を営む村上マツ子さん(67)は「どれも作りやすく、おいしかった。店でも生かしたい」と話していた。

 全員で試食をした後、同センターの病院食の取り組みについて話があった。病院食は治療の一環として、入院患者の症状に合わせて塩分や糖分などの摂取量を計算してあるものの、「いまひとつおいしくない」と思われがち。同センターは患者からの意見を取り入れ改良を続けてきた。

 花見や月見など季節の行事に合わせた特別メニューを年三十六回作るほか、主食を赤飯や鯛(たい)飯、パエリアにするなど趣向を凝らした献立も多い。市場に朝出された魚しか使わないなど、鮮度の良い地元産の食材を優先して使うのは安全のため。「水俣病は食事から始まった病気だった。病院食が安心安全なのは当然であるべき」と山下さん。

 特別メニューには、調理をどう工夫したかを伝えるメッセージカードを添付。さらに疾患に応じて重要な栄養素六種類を記載したカードを料理に添え、管理栄養士が説明に回るなどして食事の重要性を訴えている。

 同センターは、こうした病院食のノウハウを生かし、家庭で糖尿病などの予防につながる食事に取り組んでもらおうと、住民向けに毎月三回料理教室を開催。安心安全に配慮した病院食の“おいしさ”を知ってもらおうと、地元産の旬の食材を使った料理を手ほどきしている。
熊本日日新聞2007年6月13日朝刊

<食考 くまもと>
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