食考くまもと2007

「中食」にも健康志向
亀井ランチ 熊本市 杜仲、黄精、クコの実…弁当に薬膳取り入れ

 弁当や総菜などそのまま食べられる調理済みの「中食(なかしょく)」。二〇〇六年版食育白書によると、食料支出のうち外食・中食の占める割合は44・5%に上る。中食で健康づくりに配慮しようという弁当も売り出されている。「亀井ランチ」(熊本市)を訪ねた。

津奈木小の児童
レンコンやナスの煮物など野菜たっぷりの「絶好腸弁当」を作る亀井ランチの職員ら=熊本市
授業の黒板
亀井ランチの「やくぜん松華堂弁当」(1500円)。高麗ニンジンのてんぷらもある
パワーアップシート
熊本市役所で各フロアを回って販売される亀井ランチの健康弁当。「毎日買う」という職員も多い
  午前五時半。同市近見の同社工場では香ばしい焼き魚の香りが漂い、従業員九人がコンベヤーを流れる容器におからコロッケやレンコンなどの煮物をテキパキと並べていく。

■生薬をブレンド

 煮物のだしには杜仲(とちゅう)や黄精(おうせい)などの生薬をブレンド。ご飯の上にはクコの実。「食事で病気にかかりにくくする」という中国の薬膳(やくぜん)が取り入れられている。

 創業者の故・亀井驥一郎さんは歴史好きで、江戸時代の医学者貝原益軒の「養生訓」を読んでいた。「食は命、との考えで、一九六八年の創業時から食事で健康づくりに役立ちたいと考えてきた」と妻で同社会長の亀井京子さん(72)。

 一九九〇年「薬膳食文化研究会」(事務局・富山市)と出合った。薬膳を和食に生かす方法を研究する大学教員や調理師らのグループで一緒に学んだ。

 そこから試行錯誤を始めた。夏はトマトなど体を冷やすもの、冬にはショウガなど体を温めるもの、住んでいる土地で採れるものを食べる。次々と弁当に“先人の教え”を取り入れ、一九九二年ごろ薬膳弁当を発売した。「身近で旬の野菜や果物を食べるのも薬膳。特別なことではない。食育や地産地消は薬膳の基本。値は張っても地元で手に入る野菜を使っています」と京子会長。

■市からの提案

 健康への関心が高まっているとは言え、薬膳弁当は千五百円という価格もあって、飛ぶようには売れていない。それでも「韓国のテレビドラマ『宮廷女官 チャングムの誓い』は薬膳がテーマでした。今あらためて関心が高まっている」と亀井明徳社長(39)。

 そこで同社は昨年末から、薬膳弁当を“進化”させた日替わりの健康弁当を、熊本市役所などで予約販売している。

 もとは市健康福祉政策課からの提案。市職員の半数が昼食に弁当を購入していることから、市は「弁当を健康づくりに役立てよう」と、出入りの十五業者と栄養バランスなどを話し合った健康弁当づくりを求め、五業者が取り組んだ。

 同社の健康弁当は「色とり鶏弁当」「絶好腸弁当」など名前もユニーク。「六百キロカロリー以内に抑え満足感が得られるよう考えている」と明徳社長。値段も五百円と手ごろだ。毎日食べるという同市職員金光良昌さん(37)は「野菜の量が多くてありがたい」と話す。

 ごみ減量のため、三月からは弁当箱をプラスチック容器で回収もしている。「忙しいお母さんの代理だと考え、主婦の目からみた弁当を作りたい」と京子会長は話している。(森本修代)
熊本日日新聞2007年5月13日朝刊

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