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| 金融機関は「食」の分野でもマッチングに力を入れる=5月、グランメッセ熊本で熊本ファミリー銀行などが開いた大規模商談会 |
「全国有数の大手商社とつながりができ、首都圏の小売業者とも商談が進行中。思い切って動いてよかった」。地場みそ・しょうゆメーカー、ホシサン(熊本市)の福島智子取締役(61)は今、販路の拡大に手ごたえを感じている。
同社は昨年が創業百周年。これを機に新たな飛躍を遂げようと数年前から、新商品開発に注力している。デコポン果汁を使った「飲む酢」やデコポンぽん酢、県内産品だけを原料にした麦みそなど、コンセプトにしたのは「地元色が強く健康志向に合う商品」。伝統ある技術には自信を持つ。が、販路を広げる手掛かりがなかった。
■商談会に出展
そこで飛び込んだのが銀行や県などが主催する商談会。昨年から今年にかけて積極的に出展し、PRした。「金融機関の仲介で直接売り込むことができた」。福島さんは率直に喜ぶ。
企業の販路開拓を支援するために、売り手と買い手を引き合わせるビジネスマッチング。半導体や環境などと並ぶ成長分野として、「食」にかかわる産業でその動きが活発になっている。
肥後銀行は三月、食品関連事業者向けの商談会を県物産振興協会と共同で初めて開いた。八月にはインターネット上に県産品市場を設け、支援チャンネルを広げる。
熊本ファミリー銀行と福岡銀行は、全国の地銀七行合同で七月、中国・上海で食品の商談会を開く。国内からメーカーや流通など食関連企業百社が参加を予定。熊ファミ銀営業統括部は「中国は日本食ブーム。先方の注目度は高い」と準備に余念がない。
■商品に目を
金融機関が商談会をはじめマッチングに力を入れる背景には、競争が激しさを増し、取引先の囲い込みがより重要視されてきたことがある。そのマッチングの成否を左右するのは、情報力そのものだ。「取引先の経営者や財務だけでなく、商品そのものに目を向けることが重要」(肥後銀)との意識が強まっている。
肥後銀営業統括部の鳥巣勉推進役(48)は昨年、県内農業の実態を調査。産地を視察し、支店からも情報収集した。
「作物の種類は豊富で有機栽培も進んでいる。ロットもある程度確保できる」と分析。認定農業者や法人が増えている一方で、販路で悩んでいる実態も浮かび上がった。「農業、食品製造は県内の基幹産業。売り方を工夫すれば販路を広げられる。発展の余地は大きい」と、鳥巣さんはみる。
熊ファミ銀は熊本大、崇城大に続き昨年、九州東海大とも提携した。農業や食の分野で取引先から相談があった場合の取り次ぎ態勢を拡充するためだ。「内容によっては共同研究に発展させることもできる。技術的な相談の解決に結び付けば」と同行。
健康志向を背景にベンチャーや老舗企業が競い合う「食」の市場。ホシサンの福島さんは「健康にいい熊本産の食を全国へ発信したい」と、成長の足掛かりをつかんだ今後の展開に意気込みを見せる。
食にかかわる人とモノを結びつけ始めた金融機関は、本来の資金供給機能を含めて、その姿勢を積極化させている。熊本の食と健康市場の本格形成を促す動きでもある。(辻尚宏) |
| 熊本日日新聞2007年6月19日朝刊 |
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