食考くまもと2007  

(4)変わる「中食」 高齢化見据え新商品投入

コンビニ弁当の新商品で会議するココストア九州支店の喜悦さん(右から3番目)と取引先担当者=熊本市
 「健康に配慮した商品がいいよ。それがキーワードになる」。熊本市江越の取引先でココストア九州支店商品部(同市)の喜悦寿夫さん(42)は弁当やサンドイッチを前に、食品工場の担当者らと新商品開発の戦略をこう説明していた。

  外食と家庭食の中間に当たる「中食(なかしょく)」市場は“孤食化”する世帯構造の変化を背景に六兆円を突破、拡大を続けている。代表格で、手軽さを得意としてきたコンビニ弁当が実は変わりつつある。

■カロリー抑制

  四月、ココストア(名古屋市)と子会社のエブリワン(熊本市)は、店づくりの柱に「健康増進」を掲げ、二つの新しい弁当を投入した。高齢者向けの「和こころ膳(ぜん)」は焼き魚と野菜の煮物、雑穀米のご飯を盛り熱量を六百四十キロカロリーに抑えた。女性向けの「COHACO(コハコ)」は野菜を多めにして四百十キロカロリーまで絞った。八百―九百キロカロリーあるほかの弁当と比べると、大幅に抑えたのが特徴だ。

  人気はこれからだが、市場変化をいち早くつかむコンビニが高齢者と女性を意識し健康をコンセプトとした戦略商品で、市場の行方を示唆してもいる。「人口は減り高齢者は増えている。今後を見越した商品だ」と同支店第二商品グループ前川哲也マネジャー(46)。

  食と健康市場の先べんを狙う工夫は弁当にとどまらない。健康食として息の長い豆乳や人気が高まってきた雑穀を混ぜたパンを五月下旬から熊本市の一部店舗で販売している。その名も「薬膳パン」。食の機能性を前面にした商品だ。加えて六月下旬には十穀米おにぎりも売り出す予定だ。

  コンビニ食材の“格”を高めたいのは、最大手セブン―イレブン・ジャパンも同じ。昨年三月からはパンやソーセージで悪玉コレステロールを増やすともいうトランス脂肪酸の低減や、カルシウム吸収を阻害するリン酸塩の不使用を進めている。ローソンやファミリーマートも、自然食イメージが強いオクラやワカメを使った弁当をそろえてきた。「メタボリックシンドロームが注目され出し、急速に関心が高まった」とローソン。

■宅配弁当も人気

  中食の成長株の弁当宅配も、健康に比重を置き始めている。熊本県でも営業するタクショク(諫早市)は食材提供が主事業だったが、〇三年に始めた弁当宅配がここにきて急速拡大。熊本支社が抱える顧客の三分の一の約千軒が弁当宅配を利用する。カロリーや塩分を抑えた商品が核だ。

  「食材購入の客が高齢化し、『もう自分では作れない』と弁当に変えたケースが多い。一人暮らしで一人分の食事を作ると弁当より費用も掛かり、品数も限られてくるため健康管理も難しくなる。栄養やカロリーを調えた弁当が求められる」と矢野久美子支社長(47)。

  セブン―イレブン・ジャパン系の弁当宅配セブンミールは全国十五万人の利用者のうち六割が高齢者だ。熊本県にも〇六年八月に進出。「子育て中や働く女性も含め市場は膨らむだろう」とセブン&アイ・ホールディングス。食と健康市場の広がりを確実視するビジネスが繰り広げられている。(井村知章)
熊本日日新聞2007年6月15日朝刊

<食考 くまもと>
Copyright Kumamoto Nichinichi Shimbun(C)熊本日日新聞社