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| 瓶詰めされるリキュールの品質を確かめる従業員。飲みやすさと原料のブルーベリーの機能性が人気を集め、生産が追いつかないほど売れている=山都町の通潤酒造 |
上益城郡山都町の「通潤酒造」。旧矢部町のこの地で一七七〇(明和七)年創業した老舗酒蔵に昨年、これまでにない香りが漂い地元左党の鼻をくすぐった。その酒は今夏、白壁蔵で次々と瓶詰めされている。
■特産を活用
昨年十二月に発売された酒は、実はブルーベリーを原料にしたリキュール。地元の米を使った伝統の本醸造清酒にこだわる五代目の山下泰雄社長(44)が昨年六月に製造免許を取得し、“こだわり”を分けた特製品だ。
「女性客を掘り起こすには飲みやすくて健康を意識した話題性のある酒が必要。日本酒の復権を待っていても仕方ない。健康につなぐ提案がしたい」と山下社長。
同社の清酒の出荷量は一九八〇年代をピークに減り続け〇六年はその半分にとどまっている。ところが国内の酒・飲料市場には「健康」や「安心・安全」への関心の波が押し寄せ、ビール会社はプリン体や糖質をカットした発泡酒を発売。飲料、食品メーカーも食品機能を売り文句に茶や梅などの飲料でヒットを飛ばしたのは記憶に新しい。
こうした中、帰郷前に銀行勤めで市場を見る目を養った山下社長はブルーベリー産地の旧蘇陽町との合併を機に、目の疲れを癒やすともいわれるアントシアニンが豊富なブルーベリーに着目。同社の清酒をベースにリンゴ酢を加え、新酒を造り上げた。地元の土産店や酒販店、熊本市の百貨店を通じて販売。半年間で当初計画を上回る五千本(一本三百六十五ミリリットル)を売り上げた。今夏は一気に増産を仕掛けた。
■地道に20年
食と健康を結ぶ新市場は“事件”も起こしている。五二年に創業した熊本市貢町の永田製パン工場。同社が二十年前の八七年から売る「ふすまパン」は人気という人気もなかったが、二年前から買い求める主婦が増え、今では「受注増に対応しきれない」ほどになった。考案した永田昭一社長(60)さえ少し戸惑うほどだ。
ふすまは小麦の粒を覆う皮で、食物繊維の含有量が百グラム当たり七・五グラムとキャベツの四倍。偏食で便秘の悩みを抱えた永田社長の試みは当たり、生協や宅配パン専門店からの注文は増え、一日約千個を製造するまでに成長した。
「発売当時は機能性に関心は薄く、一日の製造量は百個どまりだった。食物繊維不足は現代人共通の悩み。ふすまパンは今後も求められる商品だ」。追ってきた市場ニーズの反応に意を強くし、生産能力増強の検討に入った。
永田社長らが読む市場拡大を裏付ける一つの調査がある。農林漁業金融公庫(東京都千代田区)の今年二月の調べでは、女性の50・7%が食に対して「健康・安全を第一に考える」と答えた。一年前と比べる20ポイント超も食と健康を結ぶ志向が高くなっている。
「五十代以上の関心の高さが特に目立つ。高齢社会で、食への健康志向はさらに高まる」と同公庫調査室の細矢真義副調査役(27)。医食同源を追うビジネスが足元でも走り出している。(原大祐)
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| 熊本日日新聞2007年6月12日朝刊 |
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