岩瀬茂美
編集二部次長 1988年4月入社 |
 |
| 地方・都市圏部、天草総局、社会部、荒尾支局などを経て2007年3月から現職 |
凶悪な事件、悲惨な事故、表面化した企業犯罪、偉大なスポーツ記録の達成もあれば、心が温まる話題も。こうした膨大な熊本、全国、世界のニュースが大量に集約され、数十ページの新聞が毎日出来上がります。記者が取材した記事をどの紙面に盛り込むか、どう展開していくか、その採否を判断する役割を担っているのが、編集本部の仕事です。
その日のトップニュース数本が並ぶ「1面」、時代を映す事件や企画記事などが盛り込まれた「社会面」、熊本県内の地域に密着した「ローカル面」、テーマ別に特集された「暮らし面」など、各紙面には、それぞれの性格があります。インターネット普及で膨大な情報があふれている状況の中で、新聞の役割は、発掘したニュースをより掘り下げ、背景を検証していくことが求められています。より立体的に編集して読者に「伝える」ためにも、「編集者の目」を磨くことが必要です。
編集本部では集約した原稿や写真を選択し、各面に割り振り、その記事の価値を決めます。どこの新聞社も基本的に紙面を15段で構成していますが、見出しの大きさがその記事の価値です。扱いを決めたら、「読ませる」見出しと工夫したレイアウトを考えるのが編集者の腕の見せどころ。ベタ記事でも気は抜けません。
選んだ記事はコンピューター端末で組み上げ、ミスをチェックすれば完成。でも、降版締め切り間際に大ニュースが飛び込んできたり、野球やサッカーの試合がもつれて時間が迫り、胃がきゅっとなることもしばしばです。入社20年になりました。警察回りなどを振り出しに、社会部や県内の支局、現在の編集記者の仕事を行ったり来たりしていると、あっという間でした。水俣病や労働・雇用などの専門テーマのほか、選挙報道や行政など取材対象はさまざま。リスペクトするミュージシャン取材で舞い上がったり、夏の甲子園取材で熱くなったりした経験も。どの担当の仕事でも、コツコツと一人で取材を重ねることもあれば、チームプレーもあります。数年前、30代の生き方を描いた連載「30代の地図」は30人の記者が参加した企画でした。
さて、断片的に20年を振り返りましたが、「伝える」という報道の仕事の魅力を伝えることは簡単ではありませんね。
かつて「仕事」をテーマとした取材で、多くの職業人の話を聞いたことがあります。その取材を通じて、どう働くかとは、どう生きるかということなのだという実感を深くしました。作家村上龍さんは「仕事・職業が現実という巨大な世界の入り口なのだと思う」と述べています。「入り口」の向こう側できっと、自分の可能性を広げることができる、と思います。

紙面レイアウトを打合せする岩瀬茂美さん
|
|