東 誉晃(阿蘇総局|2019年入社)

Q 現在のお仕事の内容を教えてください(当時は運動部)
小学生からプロスポーツまで取材・原稿執筆をしています。県内外に出向き、県勢選手やチームの熱戦を読者に届けることが仕事です。過去の戦績や活躍、これまでの努力や困難を乗り越えてきた経験などをもとに、試合では一球、数秒のドラマを切り取ります。選手たちの熱いプレーに日々胸を熱くし、手に汗握りながらペンを走らせています。
Q 仕事をする上で心掛けていることは何ですか
取材を受けた選手や監督が記事を読んだ時に納得できるか、頑張って良かったと思えるか、常に自問しています。「数年前に取材を受けた時に、試合に負けて内容も悪かったのに前向きな表現で書かれていたよ」と苦言を呈されたことがあります。選手たちは「悔しいけれど次につながる」「優勝はしたけれどプレーに納得がいかない」と、さまざまな思いを抱えています。紙面のスペースは限られているので、記者が選んで切り取る部分によっては、選手が抱える思いと齟齬がでてしまう場合があります。そこで言葉だけでなく、試合終了直後の様子、表情や声のトーンなどに細かく注目し、感情をくみ取りながら取材をしています。私が書いた記事が次の試合への原動力となったり、青春の思い出として残るものになるよう努力を続けます。
Q 関わった仕事で一番印象に残っていることを教えてください
茨城県で行われた国民体育大会(国体)の取材に行った際、高校生3人で7年ぶりに全国優勝した少年男子近的の歓喜の瞬間を見届けました。「あんなに応援をもらえるなんて」。唯一の3年生としてけん引した主将の驚きと感謝の表情が忘れられません。熊本は成年や少年女子が出場を逃したため、予選では応援が少なく、他県に圧倒されていました。そんな雰囲気が決勝トーナメントでは一変。九州各県の選手たちが集まり、矢が的中するたびに大声援が沸きました。決勝トーナメントで涙をのんだ選手に加え、自分の試合の合間を縫って何度も応援に駆け付ける選手もいました。試合後、熊本を応援した理由を尋ねると、鹿児島の成年女子の選手は「熊本は少年男子だけだから私たちが応援しないと。九州ブロック大会を勝ち抜いた仲間、オール九州ですよ」。その心意気に、熊本の一県民として胸が熱くなりました。勝ち負けや順位以上の価値を知り、真のスポーツマンシップに触れた気がしました。
Q 就活時代にやって良かったことは何でしたか
関心がある記事を1年間スクラップして、それに対する自分の意見をノートに書きこんだことです。新聞記者を志した当初は、自分が何を軸にしたいのかが定まりませんでした。しかし、記事を収集し始めると「地域」に関する記事が多くなり、結果的に地元の熊本県に深く根差した取材機会が得られる熊日に入りたいという気持ちが強くなっていきました。さらに意見を書き込むことで、社会で起きている問題の理解へとつながりました。「知っている」「これが好き」で終わるのではなく、「自分はこう思う、こうしたい」という考えをもっておくと、志望動機が深くなっていくと思います。