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「生」に寄り添い復興へエール 熊本市現美館15年記念展 2017年10月11日

「生」に寄り添い復興へエール 熊本市現美館15年記念展の写真、図解
会場で公開制作する寺田克也さん。被災した宇土櫓をこま犬が支えるように見える=熊本市現代美術館
「生」に寄り添い復興へエール 熊本市現美館15年記念展の写真、図解
相撲生人形(中央)と、これをもとに描かれた瀧下和之さんの鬼の絵(左)
「生」に寄り添い復興へエール 熊本市現美館15年記念展の写真、図解
多くの人たちの「生」が写された宮島達男さんの作品
 熊本市現代美術館の開館15年記念企画展「誉[ほまれ]のくまもと展」が開催中だ。国際的に活躍する現代美術家が、熊本城や生人形など熊本ゆかりの題材でアート作品を制作。熊本のいまをみつめ、見る人に寄り添い、「いかに生きるか」と鼓舞する。(中原功一朗)

 会場に入ると、寝そべった黒龍が目に飛び込んできた。なぜか熊本城の天守閣を思い浮かべた。描いたのは寺田克也さん。けものや人物などが織りなす世界を細密な線で表現するイラストレーター・漫画家だ。

 寺田さんはほかに、熊本城を題材に描き下ろした2点も展示。うち1点を会場で公開制作。ふすまに下描きせずに黒のマジックペンで、2日間で完成させた。画面中央下の小さなこま犬が存在感を放つ。目を見開き、足をふんばり、被災した宇土櫓[やぐら]を支える。熊本地震からの復興のエールに思える。

 写真家石川直樹さんも、被災した熊本城や石垣を捉えた。静かな写真だ。熊本の人たちには見慣れた光景とも言えるが、じわりと胸に迫る。地震後「熊本に何度も通った。撮っておかないと、どんどん変わる。一つのアーカイブとしてきちんと撮影したかった」という。

 館が掲げたテーマは「最新の現代美術が出会う、熊本の過去と未来」。開館15年の節目に「熊本ならでは」の展覧会を目指した。14人と1グループが約140点を出品。うち寺田さんや石川さんら5人が、熊本ゆかりの新作を展示している。

 原爆犠牲者の遺品の撮影で知られる写真家石内都さんは、在熊の作家石牟礼道子さんの手足を接写。訪れた人を優しく包み込む空間を作り出した。

 自らも被災した熊本市の現代美術家今田淳子さんは、「肥後六花」の立体作品を並べた。市民から寄せられた着物を素材に、地震後2カ月おきに制作発表してきたものだ。時間の経過とともに変わっていく作者の心境を投影し、生きようとする力や平穏を願う思いであふれる。

 館所蔵の生人形「相撲生人形」(1890年、安本亀八作)も展示されている。美里町出身の画家瀧下和之さんはこれを基に鬼の絵を描いた。時代を超えたアーティストの交流が感じられて楽しい。

 現代美術家宮島達男さんの「参加型」の作品も目を引く。参加者が自分の「死の時」をパソコンに入力すると、顔写真と「死までの時間」が画面に表示される。その画面のスチール写真約500点を壁に並べた。笑ったり、おどけたり、2人で顔を寄せ合ったりと、たくさんの「生」が垣間見える。

 「『死』を忘れた『生』は本当に生きているとは言えない。『死』を意識しながら、本物の『生』を生きてほしい」。宮島さんのメッセージが添えられている。

 展覧会は11月26日まで。現代美術館TEL096(278)7500。


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