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きれいごとない本物の愛 映画「ナラタージュ」行定監督に聞く 2017年10月05日

きれいごとない本物の愛 映画「ナラタージュ」行定監督に聞くの写真、図解
「見る人の“恋愛偏差値”が試される映画」と語る行定勲監督=熊本市中央区
 いちずな愛と、そこから生まれるねたみや苦しみを描く映画「ナラタージュ」が、7日から全国公開される。美しさや醜さなど、愛の多面性を表現した熊本市出身の行定勲監督に、演出に込めた意図や観客へのメッセージを聞いた。

 ある雨の夜、映画会社で働く工藤(有村架純)は、高校の恩師・葉山(松本潤)との来し方に思いを巡らせていた。高校で孤立していた工藤は、演劇部に誘って居場所を与えてくれた葉山に恋をした。卒業後、工藤は葉山と再会し引かれ合うが、葉山は別居中の妻を忘れられずにいた。工藤は葉山を忘れようと演劇仲間の小野(坂口健太郎)と付き合うがうまくいかず、葉山への思いを募らせていった-。

 島本理生[りお]の人気同名小説が原作。行定監督はオファーを受けてから12年間にわたって構想を練り、ようやく映画化が実現した。「イメージする配役がなかなか成立しなかった」と苦労を明かす。

 葉山役の松本について、行定監督は「役柄とは正反対の人間」と分析する。「松本君と話してみると、工藤との関係をあいまいにする葉山の行動は、本来の彼の考え方にはなじまない。だからこそ、松本君自身の解釈を反映しながら役を作る面白さがあった」と起用理由を語った。

 有村や坂口についても「これ以上ない適役だった」と絶賛。「映画は作られるべきときに作られる」と実感を込めて制作の苦労を振り返った。

 作中では物語の舞台は特に限定されていないが、「登場人物が暮らす生活のにおいを際立たせたい」と都会を避け、主に富山県で撮影を進めたという。川沿いにひっそりとたたずむ葉山の家は薄暗く、部屋の中には妻のものらしき調度や夫婦の写真が並ぶ。「工藤が葉山の心に入り込もうとするけれど、入れない」苦しさを象徴しているという。

 映画を通して特徴的なのが雨の描写だ。特に、葉山と工藤の関係が展開する場面では雨が降っていることが多い。行定監督は「工藤の忘れられない恋愛を呼び覚まし、一連の物語をつなげている」と雨の役割を解説。「映画は記憶で作る物語。登場人物の過去を引き出す重要な要素」と語った。

 行定監督は「ずるさや愚かさ、ひたむきさが愛の本質」と語る。「本物の愛にきれいごとはないという考えで作った映画。登場人物それぞれの『好き』という言葉にも、いろいろな意味が含まれている。過去の自分の恋愛に重ねながら見た後、恋愛について誰かと語り合ってみてほしい」(國崎千晶)

 ■7日から、県内の全シネコンで公開予定。


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