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夢の続き仮設店舗で 南阿蘇にカフェ再開 元TKUカメラマン 2017年05月15日

夢の続き仮設店舗で 南阿蘇にカフェ再開 元TKUカメラマンの写真、図解
食事に訪れた写真愛好家らに料理を出す桐原研二さん(中央左)=14日午後、南阿蘇村(植山茂)
 14日午後、ゆったりと時間が流れる南阿蘇村久石の「Cafeしもん」。道の駅にある仮設商店街のカフェは、東京や大阪などから訪れた写真愛好家ら16人で満席になった。窓からは、地震の傷痕が残る阿蘇五岳が望める。

 「いろいろあったけど、何とかオープンにこぎ着けました」。客の1人から促され、被災体験を語りだしたオーナーの桐原研二さん(63)。店を再開して2週間。人手不足のため、てんてこ舞いの日々だが「好きなことだから」と頬を緩めた。

 高森町で明治時代から続く写真館の次男。2014年3月、報道カメラマンとして34年間勤めたテレビ熊本(TKU)を退社し、“地元”の同村河陰にカフェを開いた。20代の一時期、熊本市の繁華街で喫茶店を経営。「もう一度、自分の店を」と温めてきた夢を実現させた。

 一分一秒を争う報道の現場からカフェオーナーへの転身。冬場は売り上げが落ち込み、経営は楽ではなかったが「時間の流れが違う」と、好きな景色を眺めながら過ごせる環境を気に入っていた。

 心満たされる生活になじんだ頃、熊本地震が襲った。店はとても営業できる状態ではなく、途方に暮れた。そこにTKUから声がかかり、昨年6月にカメラマンに復帰した。

 現場に戻ると、被災地の取材が続いた。益城町の仮設商店街に通ううちに、悔しさが募った。「とても大変な人々が頑張っているのに、自分だけ完結していない」

 土、日曜になると、カフェの閉店を知らない客から携帯電話に予約が入った。その期待に応えられないもどかしさから、「地震さえなければ」と恨みもした。「再開したときは、ご連絡します。お名前を教えてください」。携帯電話に数十件の連絡先が残る。

 取材先の商店主らの奮闘する姿や、客からの予約の電話に心が奮い立った。昨秋、道の駅「あそ望の郷くぎの」の駐車場に仮設商店街ができる話を聞いて応募した。以前のような古民家風とはいかないが、五岳の借景が窓を彩る。

 昼時には注文が集中する。忙しく食べて帰る客も多く、「カフェだから、もっとゆっくりしていってほしい」とも思う。

 大型連休中には再開を伝えたショートメールを見て、数組の客が早速訪れてくれた。人とのつながりのありがたさが身に染み入る。

 「料理の地道な下ごしらえは、綿密な取材のようなもの。仕込んで手を加え、完成させる意味で、料理とニュースは似ている」。そう口にする顔に充実感がみなぎった。(福井一基)


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