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借用の屏風絵、5年かけ修復も変色残る 高知に返還 2017年04月19日

借用の屏風絵、5年かけ修復も変色残る 高知に返還の写真、図解
<変色前>屏風絵の1点「蘆屋道満大内鑑 葛の葉子別れ」(絵金蔵運営委員会提供)
借用の屏風絵、5年かけ修復も変色残る 高知に返還の写真、図解
<変色後>床や右上の緑の着物の一部、左の女性の周囲が黒くなった(東京文化財研究所提供)
借用の屏風絵、5年かけ修復も変色残る 高知に返還の写真、図解
<修復後>床や左の女性の周囲などに変色が残っている(東京文化財研究所提供)
 熊本市現代美術館(同市中央区)は18日、2010年に高知県香南[こうなん]市から借りて変色させた屏風[びょうぶ]絵5点の修復を終え、返還したと発表した。絵は元の状態には戻らず、変色が一部残った。修復費は3千万円、ほかに地元の屏風絵保存会に1千万円を寄付する。

 絵は高知県指定文化財で、「絵金[えきん]」と呼ばれた絵師・金蔵(1812~76年)の芝居屏風絵。香南市赤岡町の保存会で受け継がれた23点が市の施設「絵金蔵」に保管されていた。

 熊本市現代美術館はそのうち5点を2010年に展覧会のために借用。防虫・防かびのための「薫蒸」を運送業者に依頼したところ、絵の緑色の部分などが黒色に変色した。薬剤に薫蒸に向かない「リン化アルミニウム」が含まれていたため、絵の顔料と化学反応を起こしたとされる。美術館は薬剤の種類を運送業者に指示していなかった。

 美術館によると、修復は東京文化財研究所(東京都)に依頼し、専門業者が12年から始めた。水を使って薬剤を取り除くことで、色が少しずつ戻ったという。変色は完全に戻らなかったが、「できるだけのことはやった」としている。返還に約5年を要したことには「保存会と協議しながら丁寧に修復を進めた」とした。

 現代美術館は熊本市の外郭団体「市美術文化振興財団」が指定管理者として運営。市から年間2億3千万~6千万円の管理料を受けている。修復費3千万円と寄付1千万円は、財団の運用財産から支出。今後運送業者にも負担を求めるという。

 財団は寄付について「屏風絵の保存継承にあててもらうが、おわびの意味も込めた」と説明。元熊本市幹部で財団の原本靖久理事長は「元に戻せず責任を感じるが、高知県のみなさんが理解してくれて大変感謝している」と話した。

 赤岡絵金屏風絵保存会の金澤正寿会長は「不幸な事故で心を痛めたが、心を尽くした協議、修理をしていただき感謝する」とコメントした。(中原功一朗)


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