イ草移植機、クボタが製造再開 八代市で実演、22年ぶり新型に

熊本日日新聞 | 2020年11月30日 11:00

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製造が再開されたイ草移植機で定植の実演をする小嶋新吾さん=八代市

 農機具メーカーのクボタ(大阪市)が22年ぶりに製造を再開したイ草のカセット式移植機と苗処理機の完成式典が28日、熊本県八代市千丁町のJAやつしろ中央い製品集荷所であった。関係者がテープカットして完成を祝った。

 クボタはイ草産業の低迷で1998年に製造を中止。熊本は全国の生産量の98%を占める一大産地で、生産者からの強い要望を受けて県や関係自治体、JAなどが、同社に製造再開を働き掛けた。

 既に納入が始まっており、来年度までの2年間で、八代市と氷川町、宇城市の農家が、イ草移植機を88台、苗処理機を86台導入する。移植機は690万円で、国と県、自治体が補助し、農家負担は140万円。苗処理機は198万円で、農家負担は28万円。

 完成式典には八代市の中村博生市長や氷川町の藤本一臣町長ら関係者約60人が出席。生産者を代表して、JAやつしろの森野利明い業部会長(57)が「作業の省力化や人手不足の解消に向け、環境を整備してもらった。経営に期待が持てる産地づくりに努めていきたい」と述べた。

 近くの小嶋新吾さん(59)のイ草田で、移植機を使った定植の実演もあった。小嶋さんは「旧型と比べて、操作が簡単で安定感がある」と喜んだ。(元村彩)