コロナ禍就活、熊本県内の学生も困惑 オンライン面接、採用減…

熊本日日新聞 | 2020年11月29日 16:00

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就職活動の相談に乗るスチューデントアドバイザーの宮本彩加さん(右)=25日、熊本市東区

 厚生労働省が発表した来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日時点)が7割を切った。この時期では5年ぶりで、新型コロナウイルス感染拡大が売り手市場にも影を落とす。熊本県内の主な大学の内定率は「ほぼ例年並み」で推移するが、オンライン面接が増え、スケジュールも変わるなど状況は一変。戸惑いながらの就職活動を余儀なくされている。

 県立大(熊本市東区)で後輩の就職相談に乗る「スチューデントアドバイザー」を務める4年の田代克己さん(22)は県内の銀行に内定した。就活中はオンライン面接に苦労させられたといい、「カメラの向こうの企業担当者に、本当に自分の思いが伝わっているのか分からず不安だった」と振り返る。

 県内のIT企業に就職が決まった同大4年の宮本彩加さん(22)は、コロナの影響で試験会場が閉鎖される体験をした。例年であれば1週間後にある次の試験が1カ月も待たなければならず、「モチベーションを維持するのが大変だった」。

 同大キャリアセンターによると、今年は遠隔授業とともにオンラインでの就活相談を充実。企業の採用スケジュールの遅れを受け、夏以降も就職を希望する4年生向けの面接対策や求人紹介に力を入れる。井伊宏憲参事(46)は「まだ決まっていない学生もいるので、しっかりとサポートしたい」と話す。

 東海大熊本キャンパス(東区)には、オンライン面接のみで企業への就職が決まり、内定後も担当者と会えていない学生から「少しでも対面したい」との相談が寄せられているという。熊本大(中央区)の担当者も「対面でしか得られない情報は埋まらないまま。企業担当者もミスマッチがないか気にしており、来春は特に入社後のケアが重要になる」と懸念する。

 一方、コロナで深刻な影響を受けている観光業や航空業。こうした業界を目指す学生が多い熊本外語専門学校(中央区)では、例年なら7割ほどが内定しているが、今年は5割程度にとどまっているという。

 ホテル業界を目指す英語科観光コース2年の西山涼さん(20)によると、例年、県内外合わせて十数社はある求人が今年は2社しかなかった。「諦めたわけではないが、他業種も検討を…」と方針転換も視野に入れる。

 同科航空コース2年の坂本実由さん(20)は、希望する県内の航空関連会社にグランドスタッフとして内定したが、航空業界の業績悪化に不安もあるという。グランドスタッフが全然違う仕事をするケースも出てきた。「コロナの影響で、これからどうなるのか本当に心配」と表情を曇らせる。(緒方李咲、澤本麻里子)