「ゆりかご」預け入れ、熊本県内から2人 19年度状況公表 「孤立出産」は10人

熊本日日新聞 | 2020年11月27日 20:15

image

 熊本市は27日、親が育てられない子どもを匿名でも預かる慈恵病院(同市西区)の「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」に2019年度に預けられた11人の出生時の状況などを公表した。

 10人が、医療関係者が立ち会わないまま自宅などで生む「孤立出産」(残る1人は不明)。9人が生後7日未満で預けられていた。ほかは1人が生後1カ月未満の新生児、1人が1歳未満だった。

 性別は男児5人、女児6人。精密検査など医療行為を必要とした子どもは4人。2500グラム未満の低出生体重児も2人いた。

 親に結び付く情報が全く無い2人は、「棄児」として市が戸籍を作成。預け入れ後に父母らが引き取った子が1人いた。

 接触できた父母らに市児童相談所などが聞き取ったところ、出産後に車で預けに来たとみられる例が5件、新幹線などの鉄道を使った例が3件あった。

 9人が父母らの居住地が判明し、うち2人は熊本だった。県内からの預け入れが確認されたのは3年ぶり。ほかは熊本以外の九州2人、近畿地方1人、中部2人、関東2人。母親は20代5人、30代2人、10代と40代が各1人。既婚者は5人、未婚4人だった。

 預けた理由(複数回答)は生活困窮と養育拒否が各4件、不倫2件、育児不安・負担感1件などだった。

 市は例年5月に前年度1年間の預け入れ状況を公表するが、今回は新型コロナの影響でゆりかごの運用を検証する専門部会が延期され、11人が預けられたことだけを明らかにしていた。07年5月の開設から約13年間に預けられた子どもは計155人。(深川杏樹)