地トウキビ、1万本の彩り 高森町

熊本日日新聞 | 2020年9月20日 20:30

image
納屋の壁一面に地トウキビを掛け干しする甲斐好夫さん(左)と妻テツ子さん=高森町

 阿蘇の秋の風物詩「地トウキビ」の掛け干しが、熊本県高森町下切地区で始まった。同地区の農業甲斐好夫さん(73)方では、約1万本が壁や天井を埋め尽くし、納屋をオレンジ色に彩っている。

 在来種のトウモロコシで、保存食を作るための掛け干しの光景はかつて阿蘇地域の各所で見られた。

 現在も食用で出荷している甲斐さんは、例年5千本ほどを干すが、今年はタヌキなどの食害が少なく、倍の約1万本。納屋に固定した幅約8メートルの竹につるし、乾燥が進むと赤みを増すという。12月ごろまで干す。

 掛け干しは、毎年11月に甲斐さん宅の庭で開く「収穫祭」の目玉にもなっている。甲斐さんは「この時季は、県外から多くのカメラマンが訪れてにぎやか。掛け干しは地元の伝統で、できる限り続けていたい」と話した。(上杉勇太)