大市場見据え現地生産
納豆 丸美屋
韓国への納豆輸出が伸びている丸美屋の南関工場。左下は、中国の現地生産法人「大連美屋食品有限公司」(同社提供)
 年間約三千トンの納豆を生産する丸美屋。本社は和水町の菊池川沿いにある。中国での納豆生産を決めたのは二〇〇二年四月の役員会。前年に中国は世界貿易機関(WTO)に加盟。「自由化で需要は拡大する。現地生産で価格を下げれば消費は伸びる」。大市場を見据えた決断だった。

 中国では当時、外資系スーパーなどで一パック五百円で売られていた。ただ、知らない人がほとんど。「政府の担当者にも何度も食べてもらい、認可をもらった」と、法人設立を担当した吉田敏彦さん(48)。  進出地は中国北部の大豆の集積地、大連市。買い付け拠点でもあり人脈もあった。同年十一月、同市郊外の甘井子区で現地生産会社「大連美屋食品有限公司」が操業を始めた。

 ただ苦労も多かった。冬の気温はマイナス一五度、夏は四〇度。稼働直後は「納豆菌がうまく働いてくれなかった」。月産能力は十トン。南関工場(約三百五十トン)などに比べ手間がかかる工程も多い。

 湯を沸かして湿度を保ったり、大豆を発酵させる「むろ」の風量を微調整したり…。風土に向き合いながら、納豆らしく粘りのある品質を作り上げた。

 現地生産の納豆は約百八十円。大連ではフランスの量販店カルフールや米国のウォルマート、日本料理店に納入。さらに上海の百貨店、日系スーパーなどにも販路が広がり、ここ数年の出荷量は毎年二割の伸びが続く。  納豆は韓国でも浸透しており、日本からの輸出が好調だ。健康にいい日本食として女性や若者に広がっているという。  当初は輸出業者に任せたが、昨年から、現地での商談に参加するようにし、丸美屋の認知度が高まった。有機栽培に関心が高い韓国に合わせ、パックにつけるたれも現地の基準に対応した。

 現在は二、三カ月に一度、五万パック(約七トン)を輸出。現地大手スーパーとの商談も進んでおり、月一度の輸出体制を目指す。

 同社によると、中国や韓国の企業も納豆生産に乗り出している。東健社長(57)は言う。「中国、韓国市場とも納豆は定着し、可能性は大きい。現地の食文化に合わせた食べ方を提案し、もっと食べてもらう工夫をしたい」(辻尚宏)

熊本日日新聞社 2008年7月11日朝刊

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