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歯
Q 歯の一部だけ真っ白に…
 子どものころから時々、歯の一部が真っ白になったり元の色に戻ったりします。歯科医に相談したこともありますが、『光の影響でしょう』と言われました。最近歯が8本そろっている子どもにも白い部分があると気づき、遺伝かと不安になりました。見た目が悪く気になっています。(熊本市、主婦、30歳)
A フッ素で再石灰化促進も
渡辺猛士院長
渡辺猛士院長
渡辺歯科医院
(熊本市)
 大変特異な例と思われます。一般的に、エナメル質の白濁は、表面の微細構造が変化して起きる光線の乱反射か、内部構造の先天的な乱れによる周囲組織との屈折率の変化のため起こると考えられています。

 お尋ねのように日常的に白くなったり元に戻ったりを繰り返す状況であれば、初期のむし歯のような状態になって、歯の表面の微細な構造に乱れが生じているためではないでしょうか。水分が浸透した状態では光の乱反射が起こらずに見た目は均一に見えるものの、乾燥すると表面で光が乱反射し、チョークのように白く見えるのではないか、と推察されます。

 生え出して間もない永久歯も、同様の理由で見た目の透明度に差が出ることがあります。エナメル質の表面が未成熟で、歯の主成分のアパタイトの結晶構造が整っていないためです。しかし、数年はかかりますが、だ液からミネラルの供給を受けることで構造が整い、きれいな透明な歯になっていくと思われます。

 また、先天的な疾患などを原因とするエナメル質形成不全(斑状歯を含む)という場合も考えられます。この場合、かなり広範囲にほぼ左右対象の歯で均等に光沢のないチョークのような感じや、極端に黄色っぽい変色が見られます。指で触るとでこぼこした感じになることもあります。遺伝的なものもありますが、その場合は通常多くの歯で見られると思われます。

 これらすべての対処法としては、フッ素の使用を含めた脱灰防止(再石灰化の促進)が、最も必要かつ効果的と考えられます。あまりに審美的な問題があるようでしたら、ラミネートベニアなどのセラミック材による修復処置も選択肢に挙がると思われます。

 【脱灰と再石灰化】

 ここで、脱灰と再石灰化について、説明してみましょう。歯の表面のエナメル質は、発生学的な見地からも皮膚のような役割を果たしています。つまり外的刺激から歯の内部の象牙質や歯髄(一般に神経とよばれているもの)を守っています。脱灰とは、細菌が分泌した酸などによってそのエナメル質表面からミネラル分(カルシウムやリンなど)が溶け出した状態のことを指します。厳しい言い方をすれば、ごく初期のカリエス(虫歯)とも言えるでしょう。

 ただ、この脱灰は日常の健全な生活サイクルの中でも起こっています。そしてその溶け出したミネラルは唾液(だえき)中のミネラルによって補てんされています。分かりやすく言うと、食事をするたびに誰でも口の中に食べ物を入れるわけですが、私たちが食べるのと同時に口の中の細菌にもえさをやることになります。ですから食後口の中のph(ペーハー)は、がくーんと下がって酸性になります。このとき歯の表面からミネラルが溶け出します(このことを脱灰と呼びます)。これがミクロな虫歯が出来た状態です。

 ところが、人間の唾液には素晴らしい能力があり、この下がったphをある程度の時間で、きゅーっと中性域まで上げてくれると同時に、脱灰によって溶け出したミネラルを元の歯面に戻してくれるのです。これを「唾液の緩衝能による再石灰化」と呼びます。

 それじゃあいつもいたちごっこで、虫歯になるはずはなさそうですが、実はこの再石灰化を促進する唾液の緩衝能は個人によって強さが違います。残念ながらこれは体質ですので変えようがありません。さらに、しょっちゅう食べ物を口にしていると再石灰化によって修復される前にさらに深く脱灰されてしまい、修復が追いつかなくなる状態になります。これが虫歯の成因です。

 最近ではこの唾液の能力を精いっぱい期待して、初期のほんの浅い虫歯(CO=Caries for Observation)はさらに悪くならないように注意しながら手入れを続け、再石灰化による自然の修復を待つような考え方も広まって来つつあります。エナメル質の脱灰は歯の表面の白斑として観察されますが、再石灰化に好都合な条件が一定期間維持されれば虫歯に進行せず進行停止や白斑が消失することもあります。

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