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鎖骨が変形し激しく痛みます
10年ほど前から、鎖骨が変形し、激しい痛みがあります。ひどい時は、鎖骨の部分が赤く腫れ上がり熱をもち、痛みが肩、背中、胸などにも及びます。痛み止めを毎日3、4回飲んでいますが、1回に4時間程度しか効き目がなく、なかなか治りません。(熊本市、主婦、61歳)
掌蹠膿胞症(しょうせきのうほうしょう)の疑いも
松下和徳院長
あけぼのクリニック
(熊本市)
文面だけで正確な診断は困難ですが、痛みが出るきっかけとなる外傷の有無や、両側か片側か、他の体の痛みの有無、またレントゲン所見などにより診断は異なってきます。
外傷があった場合は、鎖骨がきちんとつながっていない偽関節や骨髄炎などが考えられ、外傷がない場合は、鎖骨の慢性炎症をきたす疾患が考えられます。間違いなく鎖骨を中心とした炎症であれば、最も可能性が高いのは掌蹠膿胞症(しょうせきのうほうしょう)性骨関節炎です。掌蹠膿胞症は手のひらや足の裏の皮膚に膿胞(水ぶくれのようなもの)がたくさんできる原因不明の皮膚病です。
この患者の約10%に鎖骨を中心とした前胸部の炎症が見られます(胸肋骨鎖骨間骨化症)。やや女性に多く、先に前胸部に症状が現れ、数年から10年ほど経ってから特有の皮膚症状が出る場合もあります。また、約30%の患者の脊椎(せきつい)に病変が存在し、背中やお尻に痛みが現れます。また、手指の腫れや痛みも約40%に見られますが、関節リウマチと違って持続時間は短く、変形などを起こすことは少ないようです。
ご質問の「痛み止め」が4時間ほどは効果があるという点でも、この疾患が強く疑われます。症状は良くなったり悪くなったりを繰り返しますが、重大な機能障害をもたらすことは少ないため、消炎鎮痛剤(痛み止め)のみで対応できる場合が多いようです。消炎鎮痛剤の効果が薄れてきた症例には、抗生物質を使用することもありますし、疼痛(とうつう)が強いときは一時的にステロイドを使用すると「痛み」や「腫れ」が著しくよくなることも多いです。
最近になって、掌蹠膿疱症の患者さんの体内で起こっている代謝障害の研究を手がかりに、次のような研究結果も報告されています。
(1)患者はビオチン(ビタミンH)が欠乏しており、これに由来するブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸の代謝、免疫機能に異常がある。
(2)糖尿病、IgA腎症、慢性甲状腺機能亢進症、狭心症、クローン病など代謝、免疫機能に異常がある病気を高頻度に合併しており、扁桃腺摘出術が有効な症例もある。
(3)ビオチンの投与で掌蹠膿疱症や合併症である胸肋骨鎖骨間骨化症がともに著しく改善し、治癒する症例がある。
いずれにしても総合的な診断が必要です。かかりつけの医師によく相談されることをお勧めします。
(回答者=松下和徳医師
あけぼのクリニック
院長 熊本市)
(正常な右鎖骨)
(掌蹠膿胞症性骨関節炎の右鎖骨。変形し太く硬くなっています
)
(くまにちコム「健康・医療」2005年8月1日付)
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