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腹腔鏡手術の利点は? |
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| 「おなかを切らない手術があるそうですね。腹腔(ふくくう)鏡手術と聞きました。どんな利点があるのですか」(合志市、会社員・女、34歳)
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傷小さく、早期退院も |
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腹腔鏡手術は、体の負担をできるだけ小さくし、患者の回復を早くしようと発展した手術法です。昨年、プロ野球の王貞治監督が受けた胃がん手術にも使われました。東京慈恵医大青戸病院で起きた前立腺がん手術の医療事故が社会に大きな衝撃を与えたことも記憶に新しいことと思います。
卵巣嚢腫(のうしゅ)や子宮外妊娠、副腎腫瘍(しゅよう)、腎腫瘍などでも行われていますが、今回は消化器を中心にお話しします。
腹腔鏡手術では、腹部に炭酸ガスを入れて膨らませたり、腹壁を持ち上げたりして、腹腔を広げます。次に腹壁に三〜十五ミリの穴を開け、細長い器具をおなかの中に入れて、テレビモニターを見ながら手術します。
傷も痛みも小さく、開腹手術に比べ早期の退院が期待できます。また、小さい傷で済むので癒着(腹壁と腸や、腸と腸がくっついてしまうこと)が少なく、腸閉塞(へいそく)も起きにくいと考えられます。
医師には特殊な知識と技術が必要です。臓器を直接、手で触れないので感触がつかみにくく、モニター画像には立体感がありません。手術器具の動きにも制限があり、カメラの視野外でミスが起きても発見が難しいのです。
現在、最も普及しているのは胆石や胆のうポリープを治療する腹腔鏡下胆のう摘出術です。国内では一九九二年に保険適応となり、炎症が特に強いなど一部の症例を除けば標準的な手術になっています。
胃や大腸の良性腫瘍、早期がんも腹腔鏡手術の適応となります。ただ、進行がんは開腹手術が主流です。胃がんと大腸がんの治療ガイドラインでも、進行がんの腹腔鏡手術は臨床研究の段階であるとされています。今後、症例数が増えて、開腹手術との比較評価がされるでしょう。
腹腔鏡手術と同様に、胸部の疾患を扱う胸腔鏡手術もかなり普及しています。人間の胸部はろっ骨で囲まれているため腹腔鏡手術のように炭酸ガスを必要としません。気胸(肺に穴があいてつぶれる)や早期の肺がんがその適応です。手掌(しょう)多汗症を治療する交感神経節切除は三ミリの穴を二カ所開けるだけ。胸を開く手術に比べ、胸部の筋肉のダメージが少なく、術後の痛みが小さいので、社会復帰が早くなります。
手術が必要な方は、腹腔鏡や胸腔鏡手術も選択肢として担当医と相談する方がいいでしょう。
(田上=たがみ=弘文・熊本地域医療センター外科、日本外科学会専門医・指導医)
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