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相談が救済の第一歩 関係機関 赤ちゃん“集中”懸念
緊急連載 いのちの受け皿 始動「こうのとりのゆりかご」(下)
「命の大切さを多くの人に考えてもらういい機会だと思う。責任の重い仕事だが、医療面での運営に不安はない」
「こうのとりのゆりかご」が設置されるリネン室の一角。蓮田理事長は「母親に、ここなら助けてくれると思ってほしい」と話す=5日、熊本市島崎の慈恵病院
熊本市が「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」に設置許可を出した五日。会見を開いた慈恵病院(熊本市島崎)の蓮田太二理事長は、今後の「ゆりかご」運営に自信を見せた。 だが、捨て子を助長するとの見方や、親が保護責任者遺棄罪に問われる可能性など、実際の運営面には不透明な点も少なくない。
●空きは1人
「ゆりかご」に預けられた赤ちゃんは通常、二歳になるまで乳児院で育てられることになる。県内には、熊本市と八代市に合わせて三カ所あり、定員は計六十人。
県中央児童相談所によると、三乳児院が昨年度に受け入れたのは二十九人で、そのうち棄児(いわゆる捨て子)は二人。県少子化対策課によると、現在は全体で一人しか空きがない状態だ。これまでは二歳になると児童養護施設に移るなどして定員オーバーを防いできたが、「ゆりかご」の誕生で事情が変わる可能性は否定できない。
「県内の施設が満杯になれば、県外に受け入れを頼むことになる。その費用は国と県の折半。当分の間、『ゆりかご』は熊本以外に設置されないだろうから、もし赤ちゃんが集中したら…」と同課職員。
●相談窓口を拡充
「危険な状態の子どもが預けられた場合はどうするのか」。五日の会見で問われた幸山政史市長は「いろんなケースについての対応は、病院などと一緒に考えたい」と答えるにとどめた。
こうした懸念も背景に、行政側が緊急に拡充したのが相談窓口。熊本市は四月中に嘱託職員二人を採用して福祉総合相談室を十一人に増強し、二十四時間態勢で妊娠の悩みを聞く電話相談を始める。幸山市長は「相談体制の強化で、『ゆりかご』が使われることがないよう努力したい」と強調する。
一方、県も、望まない妊娠などに悩む女性のための専用相談ダイヤルを県中央児童相談所内に一回線新設。三月二十九日からはポスターやカードで県内の相談窓口のPRを始めた。ただ、二十四時間態勢は取らず相談時間は従来通り。「ゆりかご」にも「十分な検証が必要で、各窓口での紹介は難しい」(県子ども家庭福祉室)との立場だ。
●もっとPRを
慈恵病院はすでに七年前から電話による「妊娠かっとう相談」を開設。「ゆりかご」運営開始に合わせ、フリーダイヤルの二十四時間対応にする。蓮田理事長は「困った母親に、ここなら助けてくれると相談してもらうことが重要」と訴える。
児童虐待の現状などに詳しい熊本大大学院医学薬学研究部の友田明美助教授(小児発達社会学)は「相談機関の存在はあまり知られていない。不幸な母子を少しでも多く救うため、行政はもっと積極的にPRするべきだ」と指摘する。
預ける前の相談が母子を救うための第一歩―。関係者の不安を乗せ、全国初の「ゆりかご」は動き出した。(飯村直亮、中山智雄)
(熊本日日新聞2007年4月7日付朝刊)
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