3大生活習慣病やこころ、こどもの病気など、最新治療法や先端医療の現状をお伝えします。
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識者談話
●「ゆりかご」前後の支援課題
九州東海大の山下雅彦教授(教育学)の話 赤ちゃんの命を救うという点で異論はないが、「ゆりかご」が許可の是非を中心に議論されてきたのは問題だ。赤ちゃんの人権や権利の面から、考える必要がある。両親の名前を知る権利があるし、両親に育ててもらいたいと思うのも固有の権利だからだ。
親も預ける時点では困窮し、精神的な葛藤(かっとう)状態にあるが、時間がたち経済的にも余裕ができた場合、自分で育てたいと思うこともあるだろう。発達心理学的なアプローチからも、養子縁組の時期の研究も必要だろう。
最も重要なのは「ゆりかご」に赤ちゃんを置く前の親に対する支援の充実だ。悩み、不安、産後うつなどさまざまな事情に対応し、孤独にならないよう社会が支援する必要がある。行政や医療機関を問わず取り組むべき課題だ。
●出産を社会的に支える試み
熊本大の萬羽晴夫助教授(道徳教育論)の話 家族の姿は急速に多様化している。県内でも、公園で生活している少年を引き取って、育てている夫婦がいる。血縁で形づくられる家族だけでなく、支え合うことを目的とした家族が、これからは増えてくるだろう。
「ゆりかご」は、その新生児版と言える。出産を血縁ではなく、社会的に支える試みで、今後は全国的に広がっていくのではないか。設置されると、子捨てを助長するという意見がある。若者はそこまで愚かだろうか。社会的支援がなく、子育てする自信がないから捨てるのであって、受け入れ先の有無に影響されるとは思えない。
出産は長い間、血縁によって支えられてきた。その変化に違和感を持つ人がいるのも当然だろう。今回の問題は、出産や子育てを社会的にどう支えるのかを考える絶好のチャンスだと思う。
(熊本日日新聞2007年4月6日付朝刊)
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