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「ゆりかご」設置 若者らどう考える? 菊水中や県立大で学習会
 熊本市島崎の慈恵病院が設置を目指す「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」は、幼い命をめぐって、さまざまな議論を呼んでいる。若者や子どもたちは、どう受け止めたのだろうか。

慈恵病院の田尻看護部長の話を聞く菊水中の生徒(菊水中提供)
 昨年十一月中旬、県立大(熊本市月出)の講義室。荒木紀代子助教授(地域看護学)が現代家族論を受講する約二百人の学生に、ドイツの「赤ちゃんポスト」を紹介するビデオを見せ、諸外国の状況を説明した。計画公表から約二週間後、最新の話題とあって、多くの学生が興味を示した。

 「倫理的な批判もあると思うが、赤ちゃんを捨てたり虐待するよりはいい。中絶できなくて悩んでいる人は多いと思う」「自分たちにもあり得る話。家族計画、人生計画が大切」など、女子学生たちは自分の身に置き換えてとらえた。

 一方、男子学生には否定的な意見も。「自分の子どもに責任を持たない親を社会が認めてしまう制度」「捨て子を助長させることになるのでは」

 生きる権利

 関心を持ち続ける学生は少なくない。総合管理学部三年の山下さやかさん(22)は「(ゆりかごは)生きる権利を保障するために必要な施設。若年層の妊娠や子どもの遺棄を防ぐためには、教育の充実も課題と思う」。同三年の椿愛さん(21)は「望まない妊娠や出産に悩む女性の最終手段としてあっていい。預けることで母親には考える時間もできる」と話す。

 荒木助教授は「否定的な見方をした学生は、預けられる子どもの立場から述べたようだ。男子学生は出産の当事者になり得ないので、子どもを持つ具体的なイメージをつかみにくかったのだろう」と分析。

 「学生たちは同世代の考え方を聞き、対話することで、夫婦のあり方や親子関係を考えるきっかけになったのでは」。学生の関心は、妊娠から出産支援制度の充実にまで広がっているという。

 「もっと大切に」

 玉名郡和水町の菊水中は十四日、同病院の田尻由貴子看護部長を講師に学習会を開いた。テーマは「輝けみんなの命」。二年生約六十人が参加した。

 田尻さんは「赤ちゃんの命を救うことが目的。このような施設が必要のない世の中にしていくことが大事」と訴え、生徒たちは真剣な表情で聞き入った。

 生徒からは「自分のことを大切にし、他人ももっと大切にしなくては」「産んだ子を育てられない大人にはなりたくない」など、自立を見据えた思春期の決意が伝わる感想が寄せられた。

 学年主任の福永美樹教諭(39)は「生徒たちは命の大切さを再認識し、責任感ある行動が必要だと受け止めたようだ」と話す。

 ■親の顔知らない…

 一方、預けられる子どもの立場を気遣う声も聞かれた。松本彩伽さん(11)=黒髪小五年=は「子どもに暴力を振るったり殺したりするような親が早く赤ちゃんを預けられるようになれば、命を救うことができる」。

 ルーテル学院中二年の増田美南海さん(14)は「命が助かる」と賛成する一方、「無責任に子どもをつくってしまう人が増えるのでは。親の顔も知らないなんて、子どもにとって、すごくつらいことだろう」と、不安な思いものぞかせた。(峰松清子)

 (熊本日日新聞2007年3月26日付朝刊)

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