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| 「産後うつ」未然に防ごう 全国初のプログラム 県内の産婦人科 |
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| 助産師から産後うつを防ぐ方法などについて学ぶ妊婦たち=熊本市 |
多くの夫婦にとって、赤ちゃんを授かるのはうれしいことだろう。だが、妊娠・出産が女性の体や心に大きな負担を強いるのも事実で、「産後うつ」に悩む女性たちもいる。症状を未然に防ごうという全国初の試みが、昨年十月から県内の産婦人科で進んでいる。(飯村直亮)
「自分の考えにフタをせず、相手の意見も聞きながら、やってほしいことや要望を伝えることが大切です」
熊本市南熊本のゆのはら産科婦人科医院(柚原健男院長)。助産師の竹永理恵子さん(45)が、二、三月が出産予定の妊婦四人に、自分ができないことを夫など周囲の人に頼む時の方法などについて話した。参加者のうち二人が初産。「仕事で疲れている夫に、何かやってとは頼みにくい」と声をそろえる。竹永さんは「できないことはできない、と助けを求めるだけで、精神的にも楽になれる」と説明した。
●10%が症状訴え
産後うつは出産後二、三週間以降に発症し、気分が沈む、食欲がない、育児や家事をする気力がない、何事にも喜びを感じないなどの症状がある。出産後はホルモンのバランスが崩れて体調を壊しやすいうえ、個人の性格や家族の理解不足など、さまざまな要因が絡んで引き起こされると言われている。
熊本大大学院医学薬学研究部「こころの診療科」の北村俊則教授らの調査によると、産後うつ症状を訴える女性は全体の約10%。うつ状態が数日で改善するマタニティー・ブルーと違って症状が重く、治るまでに数カ月から一年くらいかかることも。赤ちゃんとの良好な関係づくりに影響を与え、児童虐待や子どもに愛情を感じられない愛着障害との関連性も指摘されているという。
●熊大教授が指導
同医院で開かれているのは「産後うつ病予防プログラム」。県が二〇〇六(平成十八)年度から実施している「すこやか親育ち事業」の一環で、北村教授が指導している。熊本市の三医院が協力し、妊婦二十人が参加。助産師三人が出向いて、産後の精神的な不安などを和らげる手助けをする。
内容は(1)産後うつの症状などについて学ぶ「心理教育」(2)妻から母になることへのストレスや不安への対処法を学ぶ「役割の変化」(3)周囲からサポートしてもらう方法などを学ぶ「対人関係の管理」(4)産後の復職など将来計画を立てる「目標設定」(5)復習。(1)〜(4)までは出産前に行う。(5)は出産から二週間後に実施し、産後うつの症状がないか、周囲との人間関係はうまくいっているかなどを確認。問題があれば対処法などをアドバイスする。
北村教授は「女性に『再び子どもを生みたい』と思ってもらうのがプログラムの最大の狙い」と話す。
●産前からサポート
三月初旬に二人目の出産を控えた澁田晶さん(25)は「最初の出産では子どもの抱き方すら分からず不安だった。こんな機会があれば、精神的にもかなり楽になれたと思う」。竹永さんも「産婦人科では通常、子育てまではフォローしない。産前から妊婦のサポート体制を取ることに意味がある」と話す。
ただ、援助を提供する病院や助産師のスキルアップが求められるなど、プログラムの本格導入には課題も少なくない。
同医院は、出産までに十二、三回ある妊婦健診で、助産師らが時間をかけて母親の不安や不満を聞く体制を取っている。柚原院長は「カウンセリングの能力を持ったスタッフの育成や、プログラムを利用しやすい何らかの仕組みをつくることが大切」と話している。
(熊本日日新聞2008年1月30日付朝刊)
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