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アロマターゼ阻害薬 乳がん再発予防の“主役”に
 早期乳がんの手術後、再発防止の術後補助療法では、抗エストロゲン(女性ホルモン)剤のタモキシフェン(商品名ノルバデックス)が二十年以上、標準治療薬だった。ところが、アロマターゼというエストロゲン合成酵素の作用を妨げるアロマターゼ阻害薬が登場、タモキシフェンと同等以上の効果をあげている。

 乳がんの約六割は、エストロゲン受容体が陽性になる女性ホルモン感受性のタイプで、がん細胞はエストロゲンによって増殖する。閉経前のエストロゲンは卵巣から分泌されるが、閉経後は副腎から分泌されるアンドロゲンがアロマターゼの働きによってエストロゲンに変わる。タモキシフェンは、このエストロゲンに作用し、がん細胞の増殖を抑制する。

 一九七〇年代から使われており、術後五年間の投与で再発抑制率は50%〜70%とされる。ただ五年以上投与すると、再発率がアップすることが判明、投与は原則、五年間とされている。

 一方、アロマターゼ阻害薬は、アロマターゼを不活性化し、閉経後女性が体内の脂肪細胞で作るエストロゲンの分泌を抑える。

 閉経後乳がんの手術経験者約九千人を、アロマターゼ阻害薬「アリミデックス」(一般名アナストロゾール)の単独群、タモキシフェン単独群、双方併用群に分けて五年間投与した。結果、アリミデックス単独群の効果が一番高く、タモキシフェン単独群と併用群は有意差がなかった。

 別のアロマターゼ阻害薬「アロマシン」(一般名エキセメスタン)の臨床試験では、タモキシフェンを二〜三年間投与した約四千七百人を、タモキシフェン続行群とアロマシン切り替え群に分け、合わせて五年後の時点で比較した。タモキシフェン続行群に比べ、アロマシン切り替え群では乳がんの再発が三分の二に抑制された。

 またタモキシフェンを五年間投与した約五千人を、国内では未発売のアロマターゼ阻害薬「フェマーラ」(一般名レトロゾール)群と偽薬群に分類。さらに五年間投与して比較したら、フェマーラ群の方が乳がんの再発リスクを43%抑えた。

 これらの海外大規模臨床試験の結果から、補助療法の“主役”はアロマターゼ阻害薬になりつつあり、術後補助療法のガイドラインを作成する国際会議が来年一月、スイスで開かれる。会議に参加する熊本市立熊本市民病院の西村令喜・外科部長(乳腺外科)は「世界のすう勢はタモキシフェンからアロマターゼ阻害薬だが、会議で一気に合意が得られるかはまだ分からない」。
 
 (熊本日日新聞2004年8月11日付夕刊)
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