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ガレクチン9 乳がんの転移予知に効果

 香川大医学部(香川県三木町)の平島光臣教授(免疫病理学)らが設立した大学発ベンチャー「ガルファーマ社」(高松市)が、乳がん転移予知診断キットの開発に成功。二〇〇五年春、臨床試験に入る。

 平島教授は一九九八年、高分子タンパク質の一つ「ガレクチン9」という物質が、体が炎症を起こしたり、アレルギー反応したりする際に現れる好酸球(白血球の一種)の誘導因子であることを初めて突き止めた。その後、ガレクチン9には、がん細胞の凝集・接着作用があること、がん細胞にアポトーシス(細胞死)を起こさせること、過剰な免疫反応を抑えること、なども分かった。

 しかしガレクチン9自体では治療薬になりにくいため、香川大医学部の山内清明・教授(乳腺外科)の協力を得てガレクチン9と乳がん、熊本大医学部の影下登志郎・助教授(皮膚科)の協力を得てガレクチン9と悪性黒色腫(メラノーマ)との相関関係をそれぞれ調べた。

 その結果、乳がんでも、メラノーマでも、ガレクチン9がよく発現した患者ほど、転移や再発が抑えられた。

 このうち乳がんでは、転移予知因子となっているリンパ節転移の有無よりも、ガレクチン9の方が高い確率で乳がんを予知できた。

 「今の乳がん治療では、わきの下のリンパ節に転移していると、肺や骨などに転移する可能性が高くなるため、リンパ節を摘出する。ただリンパ節に転移しても、肺などに転移しない場合や、リンパ節に転移していなくても再発するケースがある」と山内教授。「ガレクチン9の発現とリンパ節転移の有無を組み合わせることで、転移をより正確に予測できれば、術後の化学療法をしなくても済む患者を特定することができ、過剰な治療が避けられる」と強調する。

 一方、動物実験では、がんを移植したネズミにガレクチン9を投与すると、がん細胞が死滅して、ネズミが長生きすることが判明している。

 これらのことから、人のがん細胞内でガレクチン9を増やすことができれば、がんの転移を防いだり、治したりできる可能性も、ありうるわけだ。

 ガルファーマ社は〇二年三月、扶桑薬品工業(大阪市)と業務提携契約を締結。まず乳がんの転移予知診断キットの製品化を急ぐ。前後してガレクチン9が関与するとみられる自己免疫疾患のリウマチや膠原(こうげん)病、ぜん息などアレルギー疾患を軸に診断薬と治療薬の開発を進めるという。

 (熊本日日新聞2004年9月8日付夕刊)
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