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閉経後乳がん再発防止 ホルモン療法に有望な新薬
 閉経後の乳がん再発を防止する術後補助療法として、「アロマターゼ阻害剤」というホルモン療法薬が高い効果を挙げている。乳がんの再発防止には長い間、抗エストロゲン(女性ホルモン)剤のタモキシフェンが標準薬だったが、これを上回る効果がアロマターゼ阻害剤を使った世界的な大規模臨床試験の中間報告で分かった。

アストラゼネカ社の「アリミデックス」錠
 ■ATAC

 アロマターゼ阻害剤は、閉経後に実際に再発した乳がんの治療薬として既に日本でも使われている。大規模臨床試験は、英アストラゼネカ社の「アリミデックス」(一般名アナストロゾール)を使ったことから「ATAC」と呼ばれる。世界21カ国の381施設で早期乳がんを治療した女性患者9366人に投与し、閉経後の経過を調べた。

 乳がん細胞は、エストロゲンによって増殖するとみられている。タモキシフェンはエストロゲンが乳がん細胞に結合するのを妨げる働きがある。女性は閉経によって卵巣がエストロゲンの分泌を止めるが、体の中では主に脂肪細胞でエストロゲンがつくられ続ける。アロマターゼ阻害剤はこれを抑制する作用があり、閉経後の人にも有効とされている。

 ■5年間追跡

 試験は1996(平成8)年に始まった。全体を(1)タモキシフェンの単独投与(2)アナストロゾールの単独投与(3)双方の併用の3群に分けて5年間追跡する計画だが、昨年12月に2・5年分(中央値)の追跡結果がまとまった。

 各群で乳がんを再発(転移を含む)または死亡した人の数を比べたところ、タモキシフェン群(3116人)では379人(12・2%)、アナストロゾール群(3125人)では317人(10・1%)。統計学上、タモキシフェン群に比べると、アナストロゾール群は乳がんの再発・死亡リスクを17%減少させていた。併用群はタモキシフェン単独群とほぼ同じだった。

 全体の84%はホルモン感受性の乳がん患者だった。その患者で比べると、タモキシフェン群よりアナストロゾール群の方が再発・死亡リスクを22%も減少させていた。特に際立ったのは反対側の乳房に再発した数。タモキシフェン群33人に対し、アナストロゾール群は14人と低く抑えていた。

 ■予防でも試験

 副作用では、タモキシフェン群に比べ、アナストロゾール群で骨がもろくなる傾向が見られた。ただ子宮体がんの発生頻度は有意に低くなっていた。9月に仏カンヌで世界の乳がん専門医が集まった国際会議が開かれ、この中間報告を分析。その結果、「閉経後の乳がん再発防止に、タモキシフェンを有意に上回る有望な薬が現れた」とし、「アナストロゾールは閉経後の女性に有望な選択肢となった。総合的にみて、今後、タモキシフェンに取って代わる可能性が高い」と位置付けた。

 東京都で10月中旬に開かれた日本癌(がん)治療学会の乳がんワークショップでは、都立駒込病院の戸井雅和乳腺外科部長が「追跡調査の報告はまだ3年分ほどだが、有意差が出つつあり、タモキシフェンを上回りそうだ。ただ現在タモキシフェンを使っている人は、途中で直ちにアナストロゾールに変える必要はない」と述べた。

 現在、アナストロゾールは、乳がんにかかったことがない人を対象に、閉経後の乳がん予防効果を調べる臨床試験に入っている。
 
 (熊本日日新聞2002年12月3日付夕刊)
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