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子宮口ふさぐ「前置胎盤」 少量の出血でも注意
 懐妊中の秋篠宮妃紀子さまが「前置胎盤」であることが分かった。関係者によると、九月六日を軸に帝王切開による出産を予定されている。早産の危険性もあり、発生率は全分娩(ぶんべん)の二百分の一という前置胎盤とはどんな病気なのだろうか。

新生児を治療する中田高公医師=熊本市新町の福田病院
 「先生、私も前置胎盤じゃないでしょうか」。産婦人科と小児科を併設する福田病院(熊本市)の河上祥一院長は最近、妊婦からそんな質問を受けるようになった。

 前置胎盤は、受精卵が子宮の低い位置に着床することで起こる。本来なら子宮の上の方に付いているはずの胎盤が下の方にずれて、胎児の出口となる子宮口の一部分を覆ったり、完全にふさいだりする。このため、ほとんどの場合、帝王切開になる。

 超音波エコー断層診の普及で診断は比較的容易になったが、いまも母体死亡の15%を占めるという。胎盤と子宮が癒着すると、子宮摘出を余儀なくされるケースもある。

 同病院では、前置胎盤の患者を年間二十人ほど治療している。ほかの医療機関から搬送されてくる母体も多い。

 同病院の新生児センターには、人工呼吸器や動脈ラインなどをそろえた特殊な保育器が九床並んでいた。血管が細いためにへその緒(臍帯=さいたい)に点滴したり、気管支に通じる人工呼吸器を付けた低体重の赤ちゃんも多い。「医療機器の進歩は著しい。昔だったら救えなかった未成熟な赤ちゃんも、元気に退院できるケースが増えた」。センター長の中田高公医師は救命治療に自信を見せた。

 前置胎盤の妊婦は容体が急変すると、赤ちゃんが未成熟のままでも緊急手術に踏み切らなければならないケースがある。

 中田医師は「前置胎盤のお母さんが妊娠中に最も注意しなければならないのが出血」と話す。

 胎盤は、たくさんの血管で子宮と密接につながっている。妊娠中に子宮口が開くと子宮と胎盤がずれて、そこから出血する。「少量ならばしばらく様子をみる。しかし、大量出血となると母体や胎児も危ない」と中田医師。緊急手術が必要となるのは、こんな場合だ。

 大量出血を防ぐには、どうしたらいいのか。河上院長は「少量出血などの症状がなければ、当初は普通の妊婦と同じ生活でいい。ただ、妊娠二十六週を超えると、気を付けてほしいことが増える」と話す。

 重い物を持ったり、旅行は避ける。水泳、エアロビクスなどのマタニティースポーツも良くない。少量でも出血があれば入院して安静に努めたい。

 河上院長によると、妊娠三十五週を過ぎれば胎児の心臓や肺、腎臓などの臓器がほとんど出来上がる。それ以降の出産ならば、新生児死亡や後遺症が残る可能性は大幅に減少するという。

 「三十五週が、お母さんと産科医が目指すゴールになる。そのためにも妊婦健診をきちんと受けて、自分のリスクを正しく理解してほしい」と河上院長は話した。(梅野智博)

 (熊本日日新聞2006年8月9日付朝刊くらし面)
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